【ニュース・フランス・日本】富士通研究所、Inriaとの共同研究Scikit-learnコンソーシアムの成果発表

 
近年みられるようにAIや機械学習が飛躍的に進歩し、それと共にオープンソースのソフトウェアが急速に発達している。実際に機械学習のアルゴリズムは、オープンソフトウェアとして広く共有され、様々な要因もあり発展している。データ科学者やAIの研究者は、問題解決や多くのアルゴリズム発展のためにそれらのソフトを利用している。オープンソースがなければ、AIや機械学習がこれほど発展することはなかったであろう。
 
産業研究所である富士通研究所は、研究活動のために多くのオープンソースのソフトを利用しており、今日の活動には必要不可欠なものになっている。しかし、オープンソースの増加・発達に伴う問題(メンテナンスやセキュリティーに関するもの)が発生することもある。富士通研究所は、オープンソース業界を支援していくことの重要性を認識しており、自社の研究活動のためだけでなく、AI業界全体のために、プログラムの欠陥の解消やソフトウェアの向上に努めている。富士通研究所とフランス国立情報学自動制御研究所(Institut national de recherche en Informatique et en automatique:Inria)は、AIや機械学習の分野においてリーダーシップを取り、持続的な発展に貢献している。
 
2017年12月から富士通研究所とInriaは、トポロジカルデータアナリシスと機械学習による時系列分析についての研究を進めている。この技術は、富士通研究所とInriaが所有する。これは「データ構造」の分析からなり、これまでは専門家によるデータ分析が必要であったが、現在はアルゴリズムによって自動化されている。そして、データの変動が激しくかつ大量にあり判別が難しいときでも、時系列異常検知技術の飛躍的発展によって、分類・認識が可能になった。この方法による時系列分析は、複数のケースに応用されていて、例えば橋梁劣化解析や心電図による不整脈の種類判定がある。この共同研究においても、複数のオープンソースのソフトウェアが利用されており、この業界の支援は、その発展のために長期的に不可欠なものである。
 
富士通研究所とInriaは初めて、高次元幾何学分析(Geometry understanding in higher dimensions:Gudhi)を通じて、Inriaのオープンソースソフトウェアによるトポロジカルデータアナリシスの成果を発表する。これによって、様々な分野において、この強力な技術が利用可能となり、時系列分析と分類および異常検知が簡略化される。
 
この発表は、成果の拡散をより効果的にするため、AIや機械学習の分野における優れたエンジニアと協力して行う。Scikit-learnは、機械学習の分野において図書館のようなものである。これはAIの分野において世界で最も多くダウンロードされているオープンソフトウェアで、標準規格である。
 
元々scikit-learnコンソーシアムは、Inriaが中心となって、高いレベルの科学との連携によって進められてきた。Inriaは、scikit-learnコンソーシアムを創設し、運営しているが、これは科学的・技術的な科学の発展のために、積極的に出資・支援する企業などの協力によって成り立っている。
 
2019年11月富士通研究所はGold会員として、scikit-learn コンソーシアムに加わることを決定した。この決定によって富士通研究所は、scikit-learn のオープンソースの活動の発展を支えていくことになる。将来的に富士通研究所とInriaは、協力関係をトポロジカルデータアナリシスだけではなく、その他の応用数学や情報学の分野まで拡大し、より緊密な関係を構築する計画である。
 
2019年11月8日
 
Actu IA:Les Fujitsu Laboratories présentent les résultats de leurs recherches conjointes avec Inria et s’engagent dans le consortium Scikit-learn
 

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