2018年6月6日、フィンランドアカデミー内に設立された戦略研究評議会(Strategic Research Council:SRC)は、2019年における4つの新しい戦略的研究課題に関する提案をAnu Vehviläinen地方行政・公共改革大臣に提出した。この提案の中でSRCは戦略的研究の重要な成功要因として、組織的かつ学際的なアプローチを強調している。従前のものと合わせて、2019年の課題は、現在及び将来の意思決定に必要とされる包括的な根拠を提供するものである。
SRCが提案した2019年の4つの戦略的研究課題は以下の通り。
- 持続可能かつ健康的で気候の影響を受けにくい食糧システム
- 資源の活用と持続可能な開発を推進する革新的な素材とサービス
- 公的機関の発展的役割と社会運営への可能性
- 技術革新の進んだ社会における文化
またSRCは、2019年の研究課題における横断的な優先事項として、研究における倫理的側面を強化することを提案している。
政府は、提案について検討し最終的な研究課題を決定する。SRCは決定された研究課題に基づいて研究計画を設計し、2018年後半に研究助成の公募を開始する予定。なお、これらの課題については、公開討論の開催と、学会、研究担当者及び関係者の参加が準備されている。
準備段階における重要な要素は、社会の改革と発展に資する研究課題を選定することである。課題は横断的で、複数の担当省庁をつなぐものであり、またそれぞれが十分に際立っていて、フィンランドの未来にとって重要なものでなければならない。選定された課題には、新しい知識の獲得と新しい解決策を見つけ出すための積極的かつ学際的な研究姿勢が求められる。
「提案された2019年の課題とSRCの現在の事業との間には強い相補性がある。これらの課題が持つ共通の目標は、急速に発展するこの世界において、有益かつ持続可能な方法で発展を続けるための知識基盤を創り出すことである。現在私たちは、大きな問題の引き金となり得る原材料を多用し、恒久性のない食糧システムなどの問題を抱えているため、方向転換を図る必要がある。例えば、食糧システムは気候変動問題に対する解決策の一部となるべきであるし、また新素材は環境に大きな影響を与えることなく、より良い繁栄を生み出すために活用されるべきである。SRCの提案課題は、そのような方向転換のための研究基盤の強化を示唆している。ただし急速な変化は、どの公的機関がその責任を担うのか、将来どのように政策を立案するのか、公的機関とそうでない機関との整理をどうするのかなどの疑念も生んでいるため、健康、福祉、環境、防犯などの具体的な事例について研究することが求められている。望まれる開発を促進し、危険を回避することには多くの価値観の問題をはらんでいる。そのため、SRCは2019年の研究課題における横断的な優先事項として、研究における倫理的側面の強化を提案している。」とSRCのPer Mickwitz議長は述べた。
2018年6月6日
【出典】
Academy of Finland:Strategic Research Council submits proposal on 2019 strategic research themes to Government