contextual offerは、数年間議論の対象となってきた。しかし学生局(Office for Students:OfS)は最近、「contextual offer入試に関する学生の意見については最小限の研究しか行われてこなかった」と不満を漏らしている。
そして、2019年7月25日、高等教育政策研究所(Higher Education Policy Institute:HEPI)は、「学生はcontextual offerについてどのように考えているか」という学生の意見調査書を発行した。調査は1,000人を超える学生の意見を示している。
- フルタイムの学部学生の4分の3(73%)は、もし学生が貧困地域で育った場合、試験でよい結果を得るのは難しいと考えている。そして、ラッセルグループ所属の学生からの賛成が一番多く、81%の学生がこの考えを信じている。
- 多くの学生(72%)が、高等教育の入学許可制度は受験生の社会的背景を考慮すべきと考えている。
- 約半数の学生(47%)が貧困地域出身者への低成績入学許可制度を支援すべきと考えているが、ほぼ同じだけの学生(45%)は反対している。そして、多くの入学困難な大学では、大多数(57%)が低成績入学許可制度を支援しており、反対しているのは36%だった。
- 学生の少数(28%)は、contextual offerは、「私のような学生が大学に入るのを困難にする」と考えているが、大多数(53%)は賛同していない。
- 3分の2の学生(65%)は、自分自身が所属する大学がcontextual offerを実施しているか知らず、16%の学生しか知らなかった。
- 多くの学生(54%)は、大学が求めるレベルより低い成績で入学した学生は、大学の授業についていけると考えているが、38%の学生はそうは考えていない。
HEPIのポリシーオフィサーでこの報告書の著者でもあるHugo Dale-Harris氏は以下のように述べた。
「contextual offerは、社会的背景にかかわらず、学術的な潜在能力を持つ学生を選ぶために大学が有する最も有望な道具である。多くの学生が、教育的に不利な場合は良い成績を取るのが困難であることを認識しており、困難にもかかわらず大きな可能性を持つ人々を大学入学許可制度は認識してほしいと望むのは心強いことである。
最も入学困難な大学に所属する学生が最も賛同したのは驚きであった。57%の学生が苦労している高等教育進学希望者に対する低成績入学許可制度を支持している。
我々は、一般的に、より恵まれた環境出身の学生は、contextual offerに対して、より抵抗感を示すと考えていた。しかし、これらの結果は、多くの学生は教育上の不平等を認識し、大学に対してこれらに対処してほしいと考えていることを初めて示した。
HEPIの所長で、この報告書の序文を書いたNick Hillmanは以下のように述べた。
「家庭環境や経済状況に恵まれない環境の高等教育進学希望者に、通常の入試よりも合格レベルを下げて入学の機会を設けることは、大学が行う最も議論が巻き起こる事柄のひとつである。しかし、多くの人々が、個人的な社会的背景によって学校や大学での成績が良くないため、低成績入学許可には強固な根拠があると考えている。驚くべきことに、contextual offerについての論争や証拠にもかかわらず、我々は学生がこの入試についてどのように考えているか知らなかった。
このことは当然、学生局(Office for Students:OfS)に関わることである。我々の調査結果は、contextual offerの背後にある原則が、恵まれない地域の高等教育進学希望者は支援を必要としていると信じている学生に、広く受け入れられていることを示している。
もっとも、多くの学生は自分が所属する大学がcontextual offerを実施しているか知らず、半数の学生しか、低成績入学許可制度が正しいと考えていない。したがって、学生の知的・情緒的支持を得るためには、まだ検討すべき作業がかなり残っている。」