2022年9月20日、今週末にも予定されている緊急追加予算案(Mini budget)の発表を前に、Russell Groupは、発見研究、イノベーション、人材育成の経済的な利点を提示し、政府に対して、英国の成長と繁栄の実現のためそれらに対する投資の維持を求めた。
また、生活費で苦しむ学生にも最善の支援を考慮し、短・長期的な支援措置をするように提案した。
今月当初(2022年9月6日)、新内閣の発足を受けてラッセルグループの最高責任者である Tim Bradshaw 博士は、首相の Liz Truss 氏と財務大臣の Kwasi Kwarteng 氏に対して祝辞として書簡を送付した。
その書簡では、ラッセルグループの大学が英国全土に良い結果をもたらし、新内閣の開発促進をめざす経済的手段を支援することを述べている。また、ホライズン・ヨーロッパ、Euratom, Copernicus などのブログラムへの参加を引き続き優先するように政府に要請している。そうなれば英国の研究にとって最良の結果となる。
また、9月20日、Bradshaw 博士は政府に対して生活費の締め付けで苦境にある学生への支援も忘れないようにするよう求めた。2022年の夏時点で、ラッセルグループの学生は他のグループと比較すると、政府の支援で少なく見ても550ポンドを受ける資格がなく、おそらく支援を受けられる学生がその機会を逃していると推定している。
最近、UK リサーチ・イノベーション(UKRI)は、物価上昇のため、2022/23年学事年度の大学院研究奨学金の最低額をさらに10%(2,000ポンド)上昇することを発表した。大学側も様々な方法で学生を支援する策を講じているが、更なる支援が必要とされている。それがなければ、学位取得ができず苦境に直面する学生が増加し、結果的に雇用者が必要とする高スキルの労働者を育てることができないという悪影響を与える可能性がでてくる。
ラッセルグループは、即時的及び長期的な支援の提供のため、様々な選択肢を提案した。それは:
- 政府による困難基金の拡大。学生はこれまでほとんど政府の生活支援の対象ではなかった。政府の困難基金を拡大することで、大学が最も必要としている、学生に的を絞った貴重な支援を提供することに役立つ可能性がある。
- 即座の対応として、生活費ローンを現在のインフレ率に合わせて引き上げる。2桁近いインフレ率の上昇にもかかわらず、生活費支援のために学生が利用できるローンは2022/23学事年度時点でたった2.3%しか上昇しておらず、現在のインフレ予想に対して利用資金が約2,000ポンド少ない。ローンの上限額を計算するために利用される親の年収基準も2008年時点から変化がない。このような変更は迅速に行い、即時の支援とともに長期的により良い支援を学生にするシステムとして改善する。
- もっとも支援が必要とされる学生のため生活費助成金の再導入の検討。我々は収入に基づいた調査による生活費助成金の復活を引き続き支援する。
ラッセルグループの最高責任者である Tim Bradshaw 博士のコメント:
政府が生活費の危機により苦境にいる人々の支援のため、緊急追加予算案を提示する予定であるが、学生がその討論においても取り上げられることが大変重要である。
我々のグループの大学は、財政的な懸念がある学生が増えていると報告している。新学期前に大学は財政支援の強化をするが、より多くの支援が急務である。
政府は、この機会に、財政困難な学生に対して追加困難基金の拡大など、この困難な時に学生を支援するために何ができるかを検討することを希望している。
Russell Group: russell group urges government not to forget students in cost of living support
英国首相と財務団人にあてた書簡全文: 英国首相と財務団人にあてた書簡全文
参考記事:2022年9月21日 Guardian 紙 (学生の学生問題の渦中で英国大学が生活費ローンの向上を求める。):
UK universities call for maintenance loan uplift amid students’ financial woes
地域 | 西欧 |
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