【ニュース・イギリス】英国内務省は国際教育問題に対して「反対方向に引っ張っている」

 
2022年10月4日、PIE Newsは国際教育部門の関係者たちは、新しい英国内務大臣の発言について、留学先の良い評判を失い、成長を妨げることになると懸念していることを伝えた。

 
同紙は先週、内務省(Home Office)の大臣であるSuella Braverman氏が、留学生が連れてくる扶養家族の数を分析すると伝えた。内務省は、政府が今後数週間で「移民制度の管理をしながら成長を支援する」計画を出すことを確認した。

 
今週の保守大会でのTelegraph紙の小イベントで、内務大臣は、特定の教育機関で勉強するために来る留学生数を少なくするように呼び掛けた。

 
「率直に言って、この国に来る留学生の中には、不十分な教育機関で標準に達していないコースで勉強する学生が多すぎると思う。粗悪な大学は学生によって資金を調達しているので、その数はぜひとも減らしてもらいたいものである。」と述べた。内務大臣は、どの機関のことに言及していたのかは不明である。

 
最近の調査によると、2020/21学事年度の英国大学総収入の17%は、非EU圏の留学生の学費によるものであった。
英国学生全体で英国出身の学生が78%占めるが、英国大学の年間総収入では31%のみを占めている。その一方、EU学生は全体で6%を占めているが、その総収入の3%のみ貢献している。内務大臣は、英国大学のその他の資金源に関しては述べていなかった。

 
以前、Braverman氏はThe Sun on Sunday紙に対して、「あまりにも多く」の低スキル労働者が英国に来ていると述べており、扶養家族が留学生のビザに「便乗」していることを繰り返し述べた。

 
「学生ビザを取得して、扶養家族が同行することは可能である。学部生としてこの国に来て、扶養家族を連れてくることが筋の通ったことなのであろうか?いや、ちがう。」10月4日の講演でBraverman氏は付け加えた。

 
10月3日、Braverman氏は、「留学生が英国に来て勉学に励みスキルを身につけることは素晴らしいことである。」と認めているが、学生ビザに関する「もっと優れた判断力や賢い方法」を呼び掛けた。

 
英国は2030年までに60万人の留学生を受け入れる目標を10年早く達成した。英国大学協会国際部(Universities UK International : UUKi)によれば、これは政府にとって「大成功」であり、問題とするのではなく祝福するべきものであると述べている。

 
UUKiの部長代理のJamie Arrowsmith氏は「今こそ、英国の国際高等教育について主導的地位を築く時である。」

 
「どんな犠牲を払ってでも成長を追求するということではなく、今、政府の目標が達成しされたのであれば、持続可能な成長を維持するためにも、留学生を多様化し、留学先人気で米国に続き第2位の位置を維持することに焦点を当てるべきである。」と述べた。

 
「それを実行するのであれば、引き続き英国に来る留学生を受け入れ、留学生と家族にもたらす貢献を評価するべきである。」英国の関係者は、内務省からのコメントに関して「どこかで感じたような憂鬱感」をもたらすと述べている。

 
「Braverman氏の主張を聞いていると悲しくなるほど聞き覚えがある。」Vicky Lewiss Consulting の創設者であり、幹部であるVicky Lewis氏はPIE Newsに語った。「Theresa May氏が内務大臣だった時、同じようなことを言っていた。」

 
Theresa May氏は2010年から2016年まで内務大臣を務め、2012年に英国の留学終了後の就労が廃止された時に内務省のトップであった。

 
機会が制限された7年間の間に、英国財務省は10億ポンド以上の税収を失った。また、この制限によって留学先を英国に選ぶ留学生、特に南アジアからの数が大幅に削減した原因とも言われている。

 
2020/21年度に卒業後の就労権が再導入されるという2019年の発表は、2019年に「前年度比較で20%弱の成長」となった。英国の留学先の魅力が増えたとして教育界では広く支持されている。

 
「高等教育機関の内外の関係者を問わず、内務大臣が 「海外の小児愛者、殺人犯、その他有罪判決を受けた犯罪者」に関して語ったインタビューの中で、留学生も移民規制される必要があるものとして不適当に引用されていることは驚くことである。」とUniversity of London の国際関係部長であるMike Winter OBEが語った。

 
「まるで留学生が英国にもたらす利益を強調している政府自身の国際教育戦略を全く無視しているように見える。英国内での採用による経済的影響は知られているが、留学生が母国に帰国してからそれらのネットワークと関係が重要なソフトパワーとなるものである。」とPIE Newsに語った。

 
2021年に更新された英国国際教育戦略は、2030年までに教育輸出が年間350億ポンドに達するよう「強化」することを約束している。

 
UUKの政策部長であるHarry Anderson氏は、内閣府の報道発表によるとGREAT「Study UK」のキャンペーンで、2021/22年度に登録した留学生から英国全体で4億700万ポンドの投資を生み出すと述べている。

 
「英国の高等教育は英国に優秀な人材をもたらすだけでなく、非常の多くの国境を超えた機関として、質に対する世界的な名声を得ていることは当然である。その部分をもっと強化するべきであり、弱体化させるのではない。」とWinter氏は付け加えた。

 
また、「内務省はその他の省庁とは逆の方向に進んでいるようである。」とLewis氏は続けた。
「英国の高等教育は、人材を英国に呼び込むだけでなく、国境を越えた非常に充実した教育を提供することで、その質の高さでは世界的に高い評価を受けています。これをさらに強化されるべきであり、損なわれるべきではない。」とWinter氏は付け加えた。

 
「最近まで、留学生の採用は良いこととし、政府全体の一致した意見であった。(英国の国際戦略により証明されている)そして、今その調整され一致した意見が崩れかけているようである。」

 
Braverman氏は英国に来る留学生数についての懸念を「成長の問題」と結び付けようとし、留学生が経済的な貢献をしているか疑問視している。
しかし、英国の経済に年間少なくとも288億ポンドの貢献をしているという証拠を無視しており、留学生の学費は「経済成長の力となる研究、そして、我々のコミュニティーにもたらす幅の広い利益は言うまでないことである。」とLewis氏は付け加えた。

 
#WeAreInternationalのキャンペーンに疑問を持ったRuth Arnold氏は、留学生たちは「我々の大学の成功の基盤であり、英国経済の強さの重要な源」であることを強調した。「国際教育戦略、特に開発促進を支援する省庁全体の一致した意見を損なうことは危険である。」と警告している。

 
特に、コストのかかる問題、研究、市民の恩恵に対する大きな相互補助を考えると、留学生を世界的競争で歓迎することは、英国の大学にとって世界のリーダーになるために必要な人材確保と優秀な人材の維持のために重要なことである。

 
「それを危険に晒すことは、経済的にも教育的にも自分の足元をすくう可能性があり、経済成長、英国経済と高等教育機関に焦点を置く政府部門に協力し、留学生を受け入れている最近の成功を維持することが重要である。そのために、あらゆる努力を行うことを確信している。」


PIE News:UK Home Office ‘pulling in opposite direction’ on int’l education agenda


地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
国際交流 学生交流、国際化