【ニュース・イギリス】ハイリスク、ハイリターンの科学研究を支援するための新たな機関の創設

 
2021年2月19日、 ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は、ハイリスク、ハイリターンの科学研究に資金提供を行う新たな独立した研究機関「Advanced Research & Invention Agency (ARIA)」を創設すると発表した。

 
BEIS の Kwasi Kwarteng ビジネス・エネルギー・産業戦略担当大臣は本日、世界的な科学超大国としての英国に地位を確固たるものにする政府の計画
の一環として、英国の次世代の先駆的な発明者は、この新たな独立した科学研究機関によって支援される
と述べた。

 
ARIA は、変革をもたらす科学技術を迅速に特定し、資金提供を行う自由を与えられた優れた世界トップレベルの科学者によって率いられるとともに、
人々の生活を良い方向へ変えることができる革新的な発見を支援するため、ハイリターンの可能性があるハイリスクの研究に資金提供する役割が
課される。

 
英国は、コンピューターの初期の前身を開発したエイダ・ラブレスアラン・チューリング、蒸気機関を作り出すことで旅に変革をもたらした
トーマス・ニューコメンジェームズ・ワット、燃料電池を作り出したウィリアム・グローブ、初めてポータブル除細動器を開発することにより
数百万人の命を救ったフランク・パントリッジといった、数世紀にわたる長く輝かしい発明の歴史を持つ。

 
ARIA の創設は、世界的な科学超大国としての英国の地位を維持するのに役立つ最も刺激的な発明者の変革をもたらすアイデアを新たな技術、発見、
製品及びサービスに変えるための8億ポンドに支えられ、当該伝統に継続をもたらす。

 
新たな機関は政府から独立し、国中で高度な技術を有する仕事を創出することに役立つ研究及び技術の最も野心的で最先端の領域を特定し、支援するための知見
及び専門知識を生かす権限を持つ世界の最も洞察力に優れた一部の研究者によって導かれる。
また、如何に不必要かつ煩雑な事務手続きを避けるかに目を
向けるとともに、異なる資金提供モデルを試みることで、柔軟かつスピード感を持って活動できるようになる。

 
ARIA は他の国で成功が証明されているモデル、特に影響力の大きい米国の Advanced Research Projects Agency (ARPA) が基になっている。
これは、人々の生活や仕事の方法を変えると同時に、生産性と成長を向上させるインターネットやGPSのような変革をもたらす科学技術を生み出す
ことに有益であった。さらに最近では、ARPA の後継機関である DARPA は、重要なコロナウィルスの治療法につながる、mRNA ワクチンと抗体療法
の不可欠な感染拡大前の資金提供機関であった。

 
機関の中心となるのは、英国の最も先駆的な研究者の取組に最善の支援を行い、不必要かつ煩雑な事務手続きを避ける方法で、研究者に柔軟かつ迅速に資金を配分する能力である。

 
また、新たな資金モデルの試み(「Program grants」、「Seed grants」、「Prize incentives」など)が行われ、研究者の成功に応じて、プロジェクトを開始そして停止し、必要に応じて資金に関する方針を転換する機能を持つ。また、研究においては、失敗する自由はしばしば成功する自由でもあるという認識の下、通常よりはるかに高い失敗に対する寛容さを備えている。

 
新たな研究機関を創設するための法案は、国会の時間が許す限りすぐ国会に提出される。目標は2022年までに完全に機能させることである。新たな
機関は、2020年7月に公表された政府の野心的な研究開発ロードマップに基づいて進められると同時に、UK リサーチ・イノベーション(UKRI)の取組を補完する。2020年11月の歳出計画案では、2021年から2022年において146億ポンドの研究開発投資を行い、2027年までに英国経済全体の研究開発費を対 GDP 比2.4%に到達するための軌道に英国を乗せ、科学イノベーションの世界的なリーダーとしての英国のステータスを強固にするための政府
の計画を提示している。

 


ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS): UK to launch new research agency to support high risk, high reward science


地域 西欧
イギリス
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