【ニュース・アメリカ・中国】米国主要報道機関、トランプ政権が学生を含む中国人に対するビザ発給制限を検討中と報道

 
ウォールストリートジャーナル紙(Wall Street Journal)とポリティコ紙(Politico)等の米国主要報道機関は、トランプ政権が計画する中国を対象とした関税及び投資制限の一環として、学生を含む中国人に対するビザ発給制限を検討していると報道した。
 
これは、中国が米国の知的財産法に違反し、米国企業に技術移転の圧力をかけた疑いがあることに対する処罰を意図したものとしている。ウォールストリートジャーナル紙によると、大統領府は、中国人に発給する学生ビザ及び就労ビザの数を制限する他、米中間を頻繁に行き来する旅行者に対して10年間有効のビザを付与するプログラムを終了することを検討中と報じている。
 
但し、ポリティコ紙は、一部の大統領府職員がビザ発給制限に反対していると報じており、最終的にビザ制限が政策に含まれるか否か、また、含まれる場合の範囲などは不明であるが、中国人へのビザ制限が米国大学に悪影響を与えることは明白である。
 
米国大学に在籍する留学生の約3分の1は中国人学生で、授業料収入及び学術的才能の両方において、中国人学生に大きく依存していることに加え、米国大学の客員研究者の出身国としての割合も中国が最大である。
 
米国大学の留学生在籍数は、2016年秋学期と2017年秋学期を比較すると、学士課程で2.2%減、大学院で5.5%減と既に減少しており、中国人学生へのビザが制限されることは、米国大学の在籍学生数に大きな打撃を与える可能性がある。
 
NAFSA国際教育者協会(NAFSA: Association for International Educators)エグゼクティブディレクター兼CEOのエスター・ブリマー氏(Esther D. Brimmer)は、中国人に対するビザ制限は、いかなるものであっても、計り知れない影響を与えることになると主張し、学生を交渉の切り札として使用するべきではないと批判した。
 
また、ブリマー氏は、留学生は2017年に米国経済に369億ドル貢献し、中国人学生だけによる経済効果は120億ドルで、45万件超の雇用を支援していることから、在籍学生数の減少は深刻な影響を及ぼすことになるとした。さらに、米国政策財団(National Foundation for American Policy)エグゼクティブディレクターのスチュアート・アンダーソン氏(Stuart Anderson)は、中国人に対するビザ制限が検討されているという事実だけでも留学先の選択に影響を与えると指摘した。
 
2018年3月16日
 
Inside Higher ED: Will U.S. Restrict Visas for Chinese Students?

 

地域 アジア・オセアニア、北米
アメリカ、中国
取組レベル 政府レベルでの取組
国際交流 国際化、学生交流
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