【ニュース・アメリカ】NCES、家族で初めての大学進学者である大学生、親が大卒者の学生よりも中退率が高いものの、卒業後の就職率・年収にはほとんど格差なしとの調査結果

 
教育省(Department of Education)傘下の米国教育統計センター(National Center for Education Statistics:NCES)は2018年2月8日、家族で初めての大学進学者である学生の現状に関する報告書「第一世代の大学生 ~大学進学、持続、及び、学士号取得後のアウトカム~(First-Generation Students: College Access, Persistence, and Postbachelor’s Outcomes)」を発表した。
 
これによると、親が大卒者である学生は、そうでない学生よりも学位を取得する可能性が高いものの、2つのグループの間での学士号取得の格差は大幅に縮小していることが明らかにされた。
 
調査の対象となったのは、2002年の高校2年生、2003年の大学1年生、及び、2007年の高校卒業生の3つのグループの連邦データベースで、それぞれのグループは、①少なくとも片方の親が学位取得者、②少なくとも片方の親が大学の授業を履修、③両親ともに大学に進学せず、という3つのグループに分類され た。

これらのグループ別の分析の結果、個人の大学進学及び卒業には、両親の学歴が影響するが、卒業後は家庭の状況に関わりなく就職率や年収の差がほとんどないことが明らかとなったとしている。
 
主な結果は以下の通り。

  • 第一世代の大学生全体の約半数は、公立2年制大学に進学したのに対し、親が大学卒業者の学生では全体の約4分の1。
  • 公立4年制大学に進学した学生のうち、45%の学生の親は大学学位保有者であるのに対し、親が学位を保有しない学生は26%。
  • 私立大学に進学した第一世代学生は全体の7%のみであるのに対し、親が学士号を保有する学生では23%。
  • 第一世代の学生は、経済的・社会的理由から大学を卒業しない割合が高く、全体の3分の1が入学から3年後までに中退しているのに対し、親が学位を保有している学生では14%のみ。
  • 親が大学を卒業している学生の約3分の2は、入学から3年後に4年間で卒業できる目途が立っているのに対し、第一世代学生では48%のみ。
  • 大学院に進学した学生が上級学位を取得する割合は、親の学歴に関係ないが、博士課程進学者に関しては、親が大卒の学生では、大学卒業者の10%が学士号取得から4年以内に博士課程に進学しているのに対し、第一世代学生では5%のみ。
  • 大学卒業後の就職に関しては、第一世代学生の68%と親が大卒の学生の70%が、卒業から4年後に就職しており、2つのグループ間での格差なし。また、年収も、大学を卒業した第一世代学生のフルタイム勤務の平均年収が4万5,000ドルであるのに対し、親が大卒の学生では4万5,500ドルでほとんど格差なし。

なお、本報告書は、「First-Generation Students College Access, Persistence, and Postbachelor’s Outcomes」(PDF:1.63MB)からダウンロード可能。
 

2018年2月8日
 
Inside Higher ED:The Impact of Parents’ Education Levels
 

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