マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology:MIT)の「新しい工学教育変革(New Engineering Education Transformation:NEET)イニシアティブ共同教員ディレクターで航空宇宙学部工学教授のエド・クロウレイ氏(Ed Crawley)らは、工学教育における世界的傾向の変化を紹介した報告書「工学教育の世界的現状(Global state of the art in engineering education)」を発表した。
本報告書は、世界で著名な工学プログラムに関する知識・経験を持つ思想的リーダー178人との面接に基づいて作成されたもので、新興リーダーであるシンガポール技術設計大学(Singapore University of Technology and Design:SUTD)、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London、英国)、チャールズ・スタート大学(Charles Sturt University、オーストラリア)、及び、デルフト工科大学(Delft University of Technology、オランダ)の4校における事例研究も紹介されている。
主な結果は以下の通り。
- 工学教育リーダーと考えられているオーリン工科大学(Olin College of Engineering、マサチューセッツ州)及びMITは、同分野専門家の大半が参考文献を引用。これら2校以外で引用される参考文献の多い大学は、スタンフォード大学(Stanford University、カリフォルニア州)、オールボー大学(Aalborg University、デンマーク)、デルフト工科大学などで、米国及び欧州北部以外の大学で参考文献引用数上位10位に入るのはシンガポール国立大学(National University of Singapore:NUS)のみ。
- 思想的リーダーからは、工学教育の新興リーダーとして、オーリン大学、ミネソタ州立大学(Minnesota State University)アイアンレンジ工学プログラム(Iron Range Engineering)、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンが頻繁に挙げられる。
- 米国以外の国の政治リーダーは、工学教育に多額の投資。
- 将来の工学教育の傾向は、①工学教育リーダーシップは、米国・欧州北部に限定されず、②社会・環境・技術的に緊急対応を必要とする課題に基づくカリキュラムによる学生中心の学習を統合したプログラムへの移行、③学生中心のカリキュラムを運用する能力のある次世代リーダーの出現、
の3点。
なお、本報告書は、「The global state of the art in engineering education」(PDF:8.49MB)からダウンロード可能。
2018年3月27日
MIT News:Reimagining and rethinking engineering education