【ニュース・アメリカ】黒人研究者、NIH助成申請手続き初期段階で白人研究者よりも低評価を受ける傾向

 
 ワシントン大学(University of Washington)統計学教授のエレナ・エロシェワ(Elena A. Erosheva)氏らは6月3日、国立衛生研究所
(National Institutes of Health:NIH)助成に見られる人種格差に関する報告書「NIHピアレビュー ~全般的インパクトスコアにおける
基準スコアが人種格差の主因~(NIH peer review: Criterion scores completely account for racial disparities in overall impact
scores)」を発表した。

 
 これによると、NIH助成を申請する黒人研究者は、助成申請手続きの第1段階での評価スコアが、常に白人研究者よりも低評価を受けて
いることが明らかにされた。エロシェワ氏らが検証したデータによると、NIH助成における黒人研究者による申請の採択率は、白人研究者に
よる申請の採択率に対して55%、すなわち半分強にとどまっていたという。

 
 NIHが受領した助成申請書については、レビュアーが「重要性」「イノベーション」「アプローチ」「環境」「研究者のプロジェクト
への適切性」の5つの基準に基づいて採点し、申請書類に総合得点をつけることになる。

 
 同審査後、助成申請の約半数が、審査委員会による審査を受けることになる。レビュアーには申請者の人種は明らかにされないものの、
氏名及び過去に発表した論文に関する一部の情報は提供されるという。

 
 エロシェワ氏らは、2014年~2016年にNIHが受領した助成申請のスコアを検証した結果、黒人研究者による申請書類が白人申請者の
ものよりも低く採点される傾向が判明したとしている。NIHは、5項目の評価基準に基づく採点式審査を2009年に導入したが、
同報告書執筆者らは、採点方法にまだ偏見が含まれていると指摘した。
 

なお、本報告書は、こちらから閲覧可能。
 
6月3日
 


The Chronicle of Higher Education: Black Scientists Face a Big Disadvantage in Winning NIH Grants, Study Finds

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