【ニュース・アメリカ】民権移民局、留学生・交換訪問者によるビザ失効後の不法滞在取り締まり強化に向けて新たな政策指針案を発表

 
市民権移民局(U.S. Citizenship and Immigration Services:USCIS)は2018年5月10日、留学生・交換訪問者によるビザ失効後の不法滞在取り締まりを強化するために、新たな政策指針案を発表した。
 
これは、F・J・Mビザ保有者を対象としたもので、同政策指針案の下では、ビザ失効後の不正滞在期間が180日以上となった個人に対し、3~10年間の入国禁止措置を取るというものである。また、ビザ有効期限内であっても、履修すべき単位数を履修しなかったり、無許可の活動に関与したりした場合は、その時点でビザ失効とみなされることになる。
 
無許可の活動には、例えば、大学卒業後にオプショナル・プラクティカル・トレーニングプログラムの下で、米国内で就労する際に、大学での専攻分野以外の領域で働く場合などが含まれる可能性がある。さらに、F・J・Mビザ保有者の不正滞在により、その配偶者に対しても、同様の入国禁止措置が取られる可能性がある他、異議申立の機会も与えられない可能性がある。
 
同政策指針案に対しては、6月11日までパブコメを受け付けているが、NAFSA国際教育者協会(NAFSA:Association of International Educators)公共政策担当エグゼクティブディレクター代理のジル・ウェルチ氏(Jill Welch)は、新指針案に関し、留学生及び交換訪問者にとって非常に複雑な内容で、多数のビザ保有者が、誤って不正滞在扱いとされる可能性があるとの懸念を表明した他、誤って不法滞在してしまった留学生及び交換訪問者を犯罪者扱いすることは、留学・研究先としての米国の魅力を低下させるものであるとともに、安全面にも悪影響を及ぼすと警告している。
 
なお、USCISの管轄省庁である国土安全保障省(Department of Homeland Security:DHS)によると、2016年度のF・J・Mビザでの米国入国者数は145万7,556人で、このうち、ビザ失効後の不法滞在者の割合は、Fビザ保有者6.19%、Jビザ保有者3.8%、Mビザ保有者11.6%となっている。
 
新たな政策指針案は、「Accrual of Unlawful Presence and F, J, and M Nonimmigrants」(PDF:179.13KB)からダウンロード可能。

 

2018年5月15日
 
Inside Higher ED:Violate Your Student Visa? You’re Not Welcome Here.

 

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