公共政策に関するシンクタンクであるデモス(Demos)は2018年2月22日、大学の学費を州別で比較した報告書「手が届かない時代 ~高騰する大学学費と新しい米国大学生の50州での比較~(The Unaffordable Era: A 50-State Look at Rising College Prices and the New American Student)」を発表した。
本報告書は、大学の手の届きやすさ及び政府補助金の問題が最も深刻な州、各州における効率高等教育の優先度、白人学生にとって有利な州などを提示している。
主な結果は以下の通り。
- 50州中、ワイオミング州を除く49州では、大学の収入全体の中で授業料収入の占める割合が21世紀初頭よりも高い。
- 学生1人あたりの高等教育助成が最も低い10州は、授業料収入への依存度が最も高い。
- 50州中22州において、勤労者世帯の学生が支払う平均正味学費は、公立4年制大学で年間1万ドル以上。
- 50州38州において、公立4年制大学の学生が学資ローンを利用せずに学費を支払うためには、週20時間以上の労働が必要。また、9州では、低所得層学生は30時間以上の労働が必要で、ニューハンプシャー州とペンシルバニア州の2州では、フルタイム学生が学資ローンを利用せずに学費を支払うためには週40時間の労働が必要。
- 50州中10州では、コミュニティカレッジの学費を支払うために、学生は週20時間以上の労働が必要。32州では、15時間以上の労働が必要。
- 公立4年制大学の正味学費は、黒人家庭の平均年収の3分の1、ラテン系家庭の平均年収の4分の1となるのに対し、白人家庭では平均年収の5分の1。
- 26州では、公立4年制大学の平均正味学費が黒人家庭の平均的年収の半分を超え、9州では、ラテン系家庭の平均年収の3分の1を超える。また、11州では、大学学費が典型的な黒人家庭の年収に占める割合が、典型的白人家庭の年収に占める割合を20%以上上回る。
- 大学の種類に関わらず、政府助成の削減が授業料収入の増加に反映される。
なお、本報告書は、「The Unaffordable Era: A 50-State Look at Rising College Prices and the New American Student」(PDF:9.15MB)からダウンロード可能。
2018年2月22日
Demos:The Unaffordable Era: A 50-State Look at Rising College Prices and the New American Student