【ニュース・アメリカ】大学リメディアル講座の実績向上の鍵は、マイノリティ・低所得層学生の文化を尊重した内容の授業の提供

南部教育財団(Southern Education Foundation:SEF)は、歴史的黒人大学(Historically Black College and University:HBCU)2校において実験的に提供したリメディアル教育講座を検証し、その結果をまとめた報告書「高等教育を受ける黒人学生の計り知れない障壁(Untold Barriers for Black Students in Higher Education)」を発表した。

 

リメディアル教育講座を行ったのは、クラフィン大学(Claflin University、サウスカロライナ州)とモーガン州立大学(Morgan State University、メリーランド州)の2校で、いずれの大学も、黒人学生の成績向上のために文化を尊重した授業提供に既に取り組んでいる。

 

本報告書は、低所得層の黒人学生が大学入学後にリメディアル講座を受講する際に直面する障壁を検証したものである。HBCUは、マイノリティ学生や低所得層学生のための連邦奨学金「ペルグラント(Pell Grant)」受給資格のある学生を多数受け入れているが、これらの学生の教育や卒業において成果を上げており、モーガン州立大学では、リメディアルの読解の授業とアフリカの離散を中心とした内容の世界史の授業を組み合わせた統合講座を提供した結果、統合講座を受講した学生では試験の平均点が100点満点で75点から期末試験では83点に向上したのに対し、従来型のリメディアル講座を受講した学生では80点から75点に後退したという。また、クラフィン大学では、リメディアル講座の受講が必要な学生には、大学レベルの英語と数学の授業に補講とチューターによる指導を組み合わせた結果、これらの学生の74.9%が数学の授業で合格点を取ったのに対し、補講・チューター指導を受けなかった学生の合格率は40.7%であることが明らかにされた。

 

本報告書執筆者でSEF高等教育研究フェローのデショーン・プレストン(DeShawn Preston)氏は、全米レベルでリメディアル教育政策が取り上げられる際、有色人種及び低所得層の学生に注意が払われておらず、これらの学生が問題であるかのように強調されていることを指摘しつつ、リメディアル講座の合格率向上に苦労している大学は、これらのマイノリティ学生を多数受け入れる大学を見習うべきとコメントしている。

 

2017年5月10日

 

Inside Higher ED:Culturally Responsive Developmental Education(報告書PDFあり)

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
人材育成 学生の多様性