【CGSIレポート】米独英の学術研究システムとファンディングエージェンシーの役割

【概要】
米国、ドイツ、英国の各国においては、数多くの卓越した研究を行う大学が存在しており、また、大学が優れた成果を生み出すための環境も整備されていると言われている。しかしながら、各国の大学の位置づけや財務の内容は必ずしも同様ではなく、また、学術研究を支援する組織体制やプロセス等も異なる。
日本学術振興会グローバル学術情報センターにおいては、主要国の学術研究に関する調査分析を実施しているが、本稿においてはその調査結果の一端を、これら3か国の大学における研究活動システムについて各国の研究支援制度との関係において整理し報告している。いずれの国においても公的資金による支援を含めた十分に確立された財政基盤を有し、高い水準の学術研究活動を行ういわゆる研究大学が多く存在するが、各国の大学に対する支援の制度は一様ではない。例えば基盤的経費について見れば、ドイツにおいては大学を設置し教育研究に必要な財政基盤を提供することは州政府の義務とされているが、米国においては公立大学に対する州政府や市等の地方政府の関与は様々であり、私立の優れた研究大学も多く存在する。また、このような大学の位置づけの違いは研究活動に対する資金配分のメカニズムにも反映されていると考えられる。
本稿においては、まず各国の学術研究活動に対する支援システムを概観する。次に各国の代表的なファンディングエージェンシーである米国科学財団(National Science Foundation:NSF)、ドイツ研究振興協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)、英国の工学物理科学研究会議
(Engineering and Physical Sciences Research Council:EPSRC)の3機関についてその位置づけやミッション等を説明し、その競争的研究資金配分がどのように大学運営や研究活動に影響を及ぼしているかについて検討を加える。最後にそれぞれの機関の意思決定メカニズムについて、アカデミックコミュニティーからのインプットという観点を含めて整理する。
なお、本稿においては、表題を含め「学術研究システム」の語を用いている。この語はこれまで必ずしも広く用いられてきたものではないが、本稿においては国の研究開発活動という側面に加え、研究支援を受ける側としての大学の状況やアカデミックコミュニティーによる政策形成への参画といった大学側に視点を置いた側面からも各国の状況を整理したため、この語を用いたものである。
なお、レポート全文はこちら(PDF)から閲覧可能。[PDF:376.73KB]
(グローバル学術情報センター(CGSI))

地域 西欧、中東欧・ロシア、北米
アメリカ、ドイツ、イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組、大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究
レポート CGSI(グローバル学術情報センター)
研究支援 研究助成・ファンディング