【国際協力員レポート・中国】大学の海外同窓会における組織運営及び同窓生と大学との協働に関する考察-各大学・機関の中国同窓会の活動を参考に-

【概要】
筆者は日本学術振興会の国際学術交流研修により、2014年4月に同北京研究連絡センターに着任した。北京に来て早々に気付いたことの一つに、様々な大学の同窓生コミュニティの存在が挙げられるが、北京だけでも実に23の日本の大学 の同窓会が存在している。
大学において同窓生は重要な位置づけにある。日本の場合、少子化が進み、国立大学では毎年国からの予算配分額が削減されている状況の中で、大学運営にとって同窓生からの寄付は非常に重要な意味をもつ。また、在学生の学生生活や就職活動に対する同窓生からの支援は学生に大いに助けとなり、各界での同窓生の活躍は大学のイメージ向上にもつながっている。特に大学のイメージは進路選択に大きな影響を与えるといわれ、ポジティブなイメージの大学に志望者が集まる傾向にある 。このように同窓生は、大学にとって非常に重要なステークホルダーなのである。
さらに、近年は国際間の大学間競争が激しくなり、大学を取り巻く国際化の様相も著しい動きをみせている。文科省でも、「国際化拠点整備事業(グローバル30)」、「グローバル人材育成推進事業」、「スーパーグローバル大学創成支援事業」等の施策により、各大学の国際化を推進してきている。特に、最も新しいスーパーグローバル大学創生支援事業においては、「外国人留学生OBの積極的活用」を促進している。これも、大学が国際化を推進し、海外から優秀な留学生を獲得するために、また、教育・研究の国際競争力を上げていくために、海外同窓生と大学とのネットワーク強化が欠かせなくなっていることを示すものである。文科省が2013年にまとめた外国人留学生の受入れ戦略報告書」 の中でも、帰国した外国人留学生のフォローアップを行い、彼らとのネットワーク形成を行うことが、戦略を実現するための方策の一つとして述べられている。
このような海外同窓生を重視する動きは、欧米の先進諸国においてはかなり以前から認識されており、そのためのフォローアップも盛んに行われてきた。その一環として海外同窓生のネットワークも世界各地に広範に組織されている 。一方、日本の大学同窓会の活動に関しては調査や報告も極めて限られており、状況は十分に把握できていないのが現状である。
このような背景から、日本の大学の海外同窓生ネットワーク、特に中国における同窓会組織の運営及び同窓生のフォローアップ活動に関する現状を把握し、将来方向を考察することを目的に本調査を実施することとした。

なお、報告書全文はこちら(PDF)から閲覧可能。

【氏名】 瀧瀬 由香理
【所属】 筑波大学
【派遣年度】 2014年度
【派遣先海外研究連絡センター】 北京研究連絡センター

地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
国際交流 国際化、学生交流、研究者交流
レポート 国際協力員