【国際協力員レポート・フランス】Eucor‐ヨーロッパキャンパス-欧州における国際大学間連携の試み-

本稿はフランス・ドイツ・スイスにまたがるライン川上流域にある5大学によって構成されているEucor‐ヨーロッパキャンパスという国際大学間連携プログラムについて紹介・考察するものである。国際的かつ地域に根ざしたこの大学間プログラムについては、創設が1989年とかなり古いが、日本ではまだほぼ知られていないだろう。事実筆者もストラスブールに赴任する前までは全く知らなかったが、近年そのプログラム内容は大きく変貌し、歴史上初の「ヨーロッパキャンパス」を名乗るまでになった。
ストラスブールはドイツと国境を接しており、欧州議会・欧州評議会が存在している。またストラスブール広域圏を「ユーロメトロポール」と称しており、この街にいれば否が応でもフランスという国家を超えたヨーロッパという集合体について意識することは多い。欧州は政治的・経済的な面だけではなく、教育・学術・科学という側面でどのような協力関係を築こうとしているのか。すでにボローニャ・プロセス1やエラスムス計画2など、欧州全体で学生の流動性を高めたり、研究活動の国際化を推進する取り組みがなされてきているが、さらに国境を越えた大学間連携の一例としてこのプログラムを取り上げてみたい。
また、現在日本の大学を取り巻く環境は厳しいものであり、昨今においては国際競争力の低下について指摘されることも多いが、大学間連携はこの困難な状況を乗り越えていくにあたり、有効な手段の一つとなりうるだろう。
本稿ではまずEucor‐ヨーロッパキャンパスの概要・沿革・取り組みを示した上で、大学の実務担当者へのインタビューを通じこのプログラムの特性、および現在抱えている問題や将来へ向けた方針などについて提示するものである。そのことが日本の大学における国際大学間連携について考える一助となれば幸いである。
なお、報告書全文はこちらから閲覧可能。
【氏名】 金山 慶祐
【所属】 東京大学
【派遣年度】 2017年度
【派遣先海外研究連絡センター】 ストラスブール研究連絡センター

地域 西欧、中東欧・ロシア
ドイツ、フランス、その他の国・地域
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育、研究
国際交流 国際化、学生交流、研究者交流
人材育成 学生の多様性、研究人材の多様性
社会との交流、産学官連携 地域連携
レポート 国際協力員