【国際協力員レポート・フランス】フランスにおける公的競争的資金制度と使用ルール-ANRの事例-

【概要】

フランスには、主な公的資金配分機関として、フランス国立科学研究センター(Centre national de la recherche scientifique: CNRS 以下、CNRS)およびフランス国立研究機構(Agence nationale de la recherche: ANR 以下、ANR)等が存在する。CNRSはヨーロッパにおける最も大きな基礎研究に関する研究機関として、すべての研究分野を支援しており、フランス国内に10の研究機関を擁している。一方、ANR は、トップレベルの研究に対し優先的に資金を配分し、競争を加速させることを目的として設立された機関であり、CNRSに比べ支援の対象が特定のプロジェクトに特化したものとなっており、より競争的資金配分機関としての性質が強くなっている。

筆者自身、大学で科学研究費補助金の経理を担当した経験から、フランスの公的資金配分機関の公的競争的資金の使用ルールは日本と比べてどのように違うのだろうかという興味を持っていた。そして、特に、より公的競争的資金の配分機関として特殊性のあるANRの機能と役割はどのようなものか、その使用ルールや採択機関における実際の運用方法について、経理面および実務面から調査してみたいと思ったことが、本レポートを作成するに至った理由である。本レポートは第1章から第3章までの3部構成となっており、ANRの公的競争的資金の概要、公的競争的資金の使用ルールや実際の経理処理について、採択機関の運営を行っている方に対するインタビューも交えながら取りまとめた。

第1章ではANRの公的競争的資金制度の種類および最近の動向について概観し、第2章ではANRの定めた公的競争的資金制度の使用ルールについて紹介する。第3章では第2章で紹介したANRの公的競争的資金の使用ルールに基づき、実際に公的競争的資金を獲得したプロジェクトがどのような事務手順でどのような経理処理を行っているのかについて、ANRの公的競争的資金を獲得したストラスブール大学の研究者、事務担当者にインタビューし、実際の事例を紹介する。

本レポートが日仏間での研究に携わる研究者、事務担当者にとって、フランスの研究環境についての理解を深めることができる一助となれば幸いに思う。

なお、報告書全文はこちらから閲覧可能。

【氏名】 池田 志帆
【所属】 帝京大学
【派遣年度】 2015年度
【派遣先海外研究連絡センター】 ストラスブール研究連絡センター

地域 西欧
フランス
取組レベル 政府レベルでの取組、大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 予算・財政
大学・研究機関の基本的役割 研究
レポート 国際協力員
研究支援 研究助成・ファンディング、研究公正性