【国際協力員レポート・ドイツ】ドイツにおける大学ランキング-Times Higher Education 世界大学ランキングの結果向上に向けたプロジェクトの事例紹介を中心に-

【概要】

日本では、世界大学ランキングは年々その存在感を増している。2015年に発表された各ランキングにおいては、国内上位大学の順位が前年より低下(詳細は第2章参照)したことで、「東大、アジア首位から転落」といった記事が注目を集め、同時に、評価指標のひとつである「国際性」の低さが指摘されるとともに、各大学の自助努力に期待する論調も見受けられる。

これらのランキングにおける得点の算出方法及び得点の算出に使用されるデータベース等は年々変化しており、前年からの順位や得点の低下が大学としての教育・研究力の低下を直接意味するとは考えにくいため、ランキング結果を鵜呑みにすることの問題点が指摘され続けているが、一方で、その注目度は高く、世界各国からの優秀な学生や研究者の獲得という視点から、ランキングを無視し続けることは難しい現状である。

さらに、日本は、平成25年5月17日の成長戦略第2弾スピーチにおいて総理大臣の口より「今後10年で、世界大学ランキングトップ100に10校ランクインを目指す」旨が語られたように、国家として、国内大学全体の国際的地位の底上げを目標として掲げている。しかしながら、各大学が協力し、国際的地位向上に向けた取組やノウハウを共有する動きは、現時点では限定的である。

一方、ドイツでは、「ランキングをめぐる議論は他国と比較するとあまり盛んではない」状況にもかかわらず、英国高等教育専門誌Times Higher Educationによる世界大学ランキング(以降THEランキング)2015年度版におけるドイツの上位校の順位を見ると、ハイデルベルク大学は前年の70位から37位、ミュンヘン工科大学は前年の98位から53位と、大きく順位を向上させている。(一方、日本で最上位の東京大学は、前年の23位から43位に順位を落としている。)

本報告書は、上記の状況をもたらしたドイツの取組について紹介するとともに、ドイツにおける大学ランキングに関する概況を報告し、今後日本においてランキングとの「付き合い方」について検討する方々の参考材料となることを目的としている。ドイツは、非英語圏であること、また、ランキングにおいて上位を独占している英国及び米国とは異なる高等教育システムを保持するという点で日本との共通点が多いため、実際に成果を上げている取組からは現実的かつ重要なエッセンスを多く学べると考えられる。

なお、報告書全文はこちらから閲覧可能

【氏名】 佐々木 清和
【所属】 東京大学
【派遣年度】 2015年度
【派遣先海外研究連絡センター】 ボン研究連絡センター

地域 中東欧・ロシア、アジア・オセアニア、その他
ドイツ、その他の国・地域
取組レベル 政府レベルでの取組、大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育、研究
統計、データ 統計・データ
レポート 国際協力員