【国際協力員レポート・イギリス】日本と英国における国際共同学位プログラム(ジョイント・ディグリー・プログラム)に関する一考察

【概要】

グローバル化の進展を背景に、国を越えた学生・教職員の流動化や大学間における共同教育プログラムの構築など、世界規模で高等教育の国際化が進んでいる。とりわけ異なる国の高等教育機関が連携する国際共同学位プログラムは、学生の相互交流(派遣・受入れ)を加速させ、複数又は共同の学位の授与をもって学生の雇用可能性を高めるとともに、プログラムを契機とした教職員の交流促進や国際共同研究の開始など、関係大学の国際化を推し進め、国際競争力を高める有効な手段の一つとして、広く世界各国の高等教育機関で展開されている。

我が国においても、文部科学省の「大学における教育内容等の改革状況について(平成25年度)」によると、平成25年度時点で既に全国156校の大学が、海外の大学との間で大学間交流協定に基づく「ダブル・ディグリー」を実施しているとの調査結果が公表されている。また、平成26年11月14日、日本の大学と海外の大学が共同で教育課程を編成し、共同で単一の学位記を授与する「ジョイント・ディグリー」の実現を目的とした「国際連携教育課程制度」が、日本の法制化で新たに施行されたことを受けて、平成27年には、名古屋大学大学院医学研究科がオーストラリアのアデレード大学健康科学部と日本初となるジョイント・ディグリー・プログラムを設置したところである。スーパーグローバル大学等事業など政府の支援を受けて、今後も多くの大学が海外大学との教育連携を深めていくことが予想される。

一方、先行する欧州諸国では、欧州共同体(EC)(現 欧州連合(EU))加盟国間における高等教育の国際連携を目的として、学生・教職員の交流や共同教育カリキュラムの開発を促進した1987年のエラスムス計画(ERASMUS: The European Community Action Scheme for the Mobility of University Students)、欧州レベルの共通した学位・単位制度の導入等、一つの欧州高等教育圏(EHEA: European Higher Education Area)の確立を目的とした1999年のボローニャ宣言以降、30年余りの長きに亘り、欧州圏内を中心に大学間の国際共同教育・学位プログラムの開発・設置・運営を促進する取組を積み重ねている。

本稿では、今後、日本の多くの大学で導入が見込まれる国際共同学位プログラム、とりわけジョイント・ディグリー・プログラムについて、日本及び英国(一部欧州含む)の制度や取組事例に関する情報収集や機関担当者への聞き取り調査の結果を介して、プログラムそのものの在り方や、両国においてプログラムを設置・運営する際の留意点や課題について考察を加えたい。

なお、報告書全文はこちらから閲覧可能。

【氏名】 亀澤 剛
【所属】 長崎大学
【派遣年度】 2015年度
【派遣先海外研究連絡センター】 ロンドン研究連絡センター

地域 西欧、アジア・オセアニア
イギリス、その他の国・地域
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育
国際交流 国際化、学生交流
レポート 国際協力員