【国際協力員レポート・イギリス】大学事務職員大改造論-職員が日本の大学を底上げする:英国・ヨーロッパにおける職員研修を体験して-

職業は何かと尋ねられて「大学職員です」と答えると、「えっ、先生なんですか?」と返されることがよくある。また、事務職員だと少し説明をすると、「学生が夏休みのときは休みなんでしょ。大学は夏休みが長くていいですね。」と言われ閉口してしまうことが多々ある。大学をはじめとする高等教育研究機関(以下大学)は複雑で非常に規模の大きい社会組織である。大学を構成するのは学生と教員だけではない。それ以外の職員が必ず存在し、大学運営を担っている。イメージしやすいのは、教務のカウンターで履修登録等の対応をする職員だろう。その他、人事、会計、施設、研究支援、病院運営と幅広い分野で多くの事務職員が活躍している。意外な例を加えるならば、例えばセンター試験の運営は大学のいわゆる「事務職員」がメインで運営を行っていることをご存知だろうか。センター試験だけではない、大学の推薦入試を含め、ありとあらゆる試験運営を行っている。日本の大学院入試などは夏に実施されることが多いため、職員は休みではないのである。と、冒頭の問いに返したくなる気持ちを理解してほしいとは言わないまでも、「大学職員」がこれまで、大学運営の一翼を担いながらも表立ってこなかった現状、そして、それをよしとする職員自らの意識に警鐘を鳴らしたい。昨今の国際市場の熾烈化する競争に日本の大学の国際化や体質改善が叫ばれる中、日本の大学はこぞって研究重点政策や国際戦略を打ち出しているが、一向に国際的な大学ランキングは上がらない。何が問題であろうか。
本稿では、日本の大学の力を底上げするのは、実は大学職員の成長にあるということを主張したい。とりわけ、英国・欧州の高等教育研究機関や一機関内に留まらない多機関ネットワークにおける大学事務職員の能力開発(スタッフ・ディベロップメントStaff Development:SD)の事例研究を通して、日本の大学の質の向上に新たな光を当てる大学職員の支援・育成策、その具体的研修モデルの創出を図ってみたい。
なお、報告書全文はこちらから閲覧可能。
【氏名】 松村 彩子
【所属】 名古屋大学
【派遣年度】 2017年度
【派遣先海外研究連絡センター】 ロンドン研究連絡センター

地域 西欧
イギリス、その他の国・地域
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 組織・ガバナンス・人事、政策・経営・行動計画・評価
人材育成 若手研究者育成、職員の養成・確保、高技能職業人材の育成
社会との交流、産学官連携 社会貢献
レポート 国際協力員
研究支援 研究公正性