【国際協力員レポート・アメリカ】米国大学における障害のある学生への修学支援

日本学生支援機構が毎年行っている、「障害のある学生の修学支援に関する実態調査」によると、平成28年度の大学、短期大学及び高等専門学校における障害学生数は27,257人であり、全学生数における障害学生数の割合は0.86%に相当する。近年、障害学生数は大幅に増加しており、各大学において障害学生支援体制の整備や取組が進み、障害学生の把握が進んでいることが考えられる。しかし、高等学校における発達障害等困難のある学生の割合が約2.2%であるという報告や、特別支援学校高等部の卒業生における進学率が2.1%に留まっているという報告より、大学、短期大学及び高等専門学校における障害学生の把握がまだ十分に進んでいない可能性や、障害学生が高等教育機関に進学するための支援体制が十分ではないという可能性が考えられる。
平成28年4月より「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行され、障害を理由とする不当な差別的取り扱いの禁止や合理的配慮の提供が法的に義務ないし努力義務とされたが、多くの大学等の現場においては修学支援を行うための知識や経験、施設・設備、人員が不足していると言われている。
障害のある学生への支援は個別の対応が必要である。そのためには、学長等の経営トップを含む教職員が障害のある学生への支援についての現状を把握し、日本だけでなく海外での対応方法についても知ることが重要であると考えられる。
本報告書では、米国の大学における障害のある学生への修学支援状況について調査し、その取り組みを報告する。第2章で米国の障害者福祉について紹介し、第3章では米国の、第4章では日本の障害学生数について報告する。第5章では米国の大学における取組みについて2つの大学にインタビューを行い、その内容について報告する。最後の第6章では文献調査結果のまとめと大学へのインタビュー内容をふまえ、今後、日本において取り組みが必要であると思われる点について検討する。日米で障害の定義が必ずしも一致するわけではないため正確に比較をすることは困難であるが、今後、日本の大学等における障害のある学生への支援の検討に少しでも繋がれば幸いである。
なお、報告書全文はこちらから閲覧可能。
【氏名】 登島 弘基
【所属】 東京大学
【派遣年度】 2017年度
【派遣先海外研究連絡センター】 ワシントン研究連絡センター

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 質の保証
人材育成 学生の多様性
レポート 国際協力員