【国際協力員レポート・アメリカ】米国カリフォルニア州における高大接続システム

【概要】
我が国では18歳人口の減少と大学進学のユニバーサル化を背景として、高大接続が教育界を広く巻き込む課題となっている。政府では平成25年10月に教育再生実行会議の第4次提言 がまとめられ、これを受けて平成26年12月には、中央教育審議会答申「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」がまとめられている。この答申では、初等教育から高等教育の間に育むべき「確かな学力」 を明確化し、高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜を通じてその真の学力の育成、評価に取り組むといった内容が示されている。さらに、従来の大学入試センター試験よりも適切な評価法として「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」が導入されることになり、各大学のアドミッションポリシーに基づき、学生の多様性を踏まえた入試を行うこととしている。さらに平成27年1月、文部科学省は、「高大接続改革実行プラン」を策定し、具体的な取組施策とその工程について明示している。大学人としてこの高大接続改革に取り組むために、学生の入学者選抜において「技能・知識」のみの評価に偏らず志願者のあらゆる面の評価を行っている米国の高大接続について調査することに意義があると考え、特に特徴的なシステムを持っているカリフォルニア州の高大接続について調査をすることとした。
米国カリフォルニア州でも教育の質保証が問題となっている。カリフォルニア州では高校を卒業した州民であれば誰しも公立大学に入学する資格が与えられている。人口減少が問題になっている日本とは対照的に、カリフォルニア州では1960年に約1600万人であった人口が、1990年には約3000万人、2010年には約3700万人と増加しており、今後も増加し続け2050年には約6000万人になる事が予想されている 。州の人口が増加すればそれに伴い学生数も増加する。さらにカリフォルニア州は、2007年ごろからのサブプライムローンやリーマンショックの影響を受け、大学への予算削減を余儀なくされて、大学側は、教員や職員にかかるコストを削減することになり、提供できる授業数が減少した結果、学生が受講したい授業を受講できないといった問題が発生している。このように、いかに学生に対し安定的に教育サービスを提供をするかという課題を抱えているカリフォルニア州であるが、エンロールマネジメントや大学の機能別分化という観点で評価されている。このシステムの根拠となっているのはいわゆるカリフォルニア高等教育マスタープラン(以下、「マスタープラン」という。)という高等教育計画である。本報告ではカリフォルニア州の高大接続のシステムを概観することで、現在の我が国における改革論議の一部としたい。

なお、報告書全文はこちら(PDF)から閲覧可能。

【氏名】 倉橋 孝幸
【所属】 高知工科大学
【派遣年度】 2014年度
【派遣先海外研究連絡センター】 サンフランシスコ研究連絡センター

地域 アジア・オセアニア、北米
アメリカ、その他の国・地域
取組レベル 政府レベルでの取組、大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育、質の保証
人材育成 入試・学生募集、学生の多様性
レポート 国際協力員