【ニュース・フランス】MicroCarb地球規模でCO2分布を測定する人工衛星

フランスとアメリカによる「イノベーションミッション」発足の機会に、エコロジー・持続可能開発・エネルギー大臣セゴレヌ・ロワイヤル氏は、ティエリー・マンドン高等教育・研究担当大臣との合意のもと、国が出資し、CNES(フランス国立宇宙開発センター)によって開発されたフランスの超小型人工衛星MicroCarb計画を発表した。

目的は地球温暖化の主な原因となっている二酸化炭素の発生源と吸収源の地球規模の地図を作成することであり、2020年打ち上げを予定している。

これにより、何トンの二酸化炭素が、都市、植物、海洋によって排出されたかを同時に測定することができるようになる。

今日、地球上のある地域では、地上観測局の不足のため、排出あるいは吸収される二酸化炭素の量を知ることができず、またそれらの量が季節毎にどのように変動するかもわからない。

しかし、これらの情報は気候変動の原因とその影響を理解するには不可欠である。二酸化炭素は、人間活動によって引き起こされる主要な温室効果ガスである。

このデータ欠如を補うため、日本は2009年にGOSAT衛星を、またNASA(米国航空宇宙局)は2014年にOCO-2衛星を打ち上げた。一方、CNES(フランス国立宇宙開発センター)のMicroCarbは、これらの仕事を引き継ぐことができる。MicroCarbが備えている回折格子分光計は、高精度で大気中のあらゆる高度における二酸化炭素含有量を測定することができる。1ピクセルが5kmx6km四方に相当し、1ppmオーダーの精度である。フランスの研究所 Laboratoire des Sciences du Climat et de l’Environnement(LSCE)、Institut Pierre Simon Laplace (IPSL)との共同研究で開発されたこの測定器は、CNESによって開発された衛星プラットフォームMYRIADEに搭載される。

このプロジェクトで開発された機器の質量は、OCO-2に搭載されたものに比べ、3分の1と優れたコンパクト性を備えている。MicroCarbの目的は、気象モデルと組み合わせて、局所レベルで二酸化炭素の排出を検出できることである。

極上の低軌道を飛行するMicroCarbは、太陽光によって給電する。収集されたデータは科学研究コミュニティー全体で共有されるだろう。フランスは「未来への投資プログラム」中のエネルギー移行プログラムの予算を使用して、第一段階では2500万ユーロ程度の投入を予定している。

温室効果ガスの衛星監視が導入されている他の科学プロジェクトとしては、同じくCNESが活動しているMerlinプロジェクトがあり、これはドイツ航空宇宙センターと共同でメタンガスを測定するものである。Merlinはライダーを使用するもので、地表に向けてレーザ光を発射し、レーザ光が通過した大気中のメタンガスの量に応じて減衰を受けた反射信号を解析することによって測定する。一方で、コペルニクス計画の必要性に応えるため、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)は、大気組成データを得るためSentinel-4とSentinel-5衛星を2020年までには打ち上げるだろう。

フランス国民教育・高等教育・研究省(MENESR)2015年12月8日

 

MicroCarb, un satellite qui mesure la répartition du CO2 à l’échelle planétaire

地域 西欧
フランス
取組レベル 政府レベルでの取組
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