【ニュース・フランス】2017年新学期に行われたFrédérique Vidal高等教育・研究・イノベーション大臣の演説

2017年9月28日、Frédérique Vidal大臣は2017~2018大学年度新学期にあたり、大方針について記者発表を行った。

 

新学期は、政府が高等教育のために設けた主要プロジェクトをまとめて議論するよい機会だと思う。各項目について述べる前に、政府の目的は高等教育のビジョンを再構築することであることを申しあげておかなければならない。若者が自分の才能を表現でき、出自にかかわらず、高等教育と国家に信頼を寄せるように、そして今度は国家が若者に将来を保証し、明日の社会構築に寄り添い、勉学における落ちこぼれから自信回復に繋がる成功の意識を取り戻せるようにするビジョン、そして自負、未来への不安なしに将来像を描くこと。われわれは若者に寄り添い、彼らを護る義務があるとともに、また、真実を述べ、この新学期に記すさまざまなポイントについてひとつずつ話し合わなければならない。

 

この3ヶ月間には、高等教育機関に入学するための手続きについて、その限界が示された。それはすべての人の心の中でポストバックアドミッション(Admission Post-Bac:APB)プラットフォームがもつ限界であると捉えられているだろう。
無論、抽選による選抜は新しいものではないが、抽選という方法はAPBが入学先割り付けの唯一のツールとなって以来、プラットフォームの主要な機能なのである。しかし、今年、第1回目選抜の夕方、169もの分野で緊張が走ったことから、「抽選」という選抜方法が何であるか理解した。たとえ、選抜が絶対的に必要でない専攻分野でさえ、定員以上の希望者がいれば、抽選が行われ、それによってバカロレア取得者が高等教育でどの分野に進むかが偶然に左右されることになる。しかし、このバカロレア取得者は自分が進みたい専門分野を主張し、自分のモチベーションや今後の履修計画、そして将来像を描くという権利を得ることは絶対的に否定されるべきか?

 

私はここで主張したい。なぜなら今朝、CNIL(Commission nationalede l’informatique et des libertés:情報処理及び自由に関する国家委員会)が公開しているように、APBの入学先提案にはどこにも人の手が介在しておらず、政府が採用しているアルゴリズムの規則以外には正当性がないからである。そして、これらの規則は、法律によって固定されているからである。同じような家庭環境にある入学希望者が同じアカデミーにおり、かつ同じ入学先を希望しても、抽選以外の選抜方法は禁じられているのである。

 

CNILはわれわれがこれまでに理解していたことを確認した。つまり、間違いなく、抽選による選抜という方法から脱却しなければならないということである。それはまた政府の選択でもあり、法的義務でもある。向こう3ヶ月以内に解決策を見つける必要がある。
今朝、政府はCNILの通知に厳密に従うと伝えた。したがって、現行の法律では抽選以外のことはできないので、法律を改正することになる。協議の結果、われわれは新しい枠組みを決め、それに法的な根拠を与えなければならない。
CNILの決定に従えば、これはまた「ITと自由(l’informatique et libertés)」という法律によって設定された枠組み全体が厳格に遵守されていることを保証する。CNILはプラットフォームへのアクセス権についての情報と尊重が欠けていることを指摘したが、これは現在では閉鎖されている。

 

ここで、私は約束したい。APBを成功させるためのプラットフォームは、この枠組みが厳格に順守されることを検証する高いレベルの科学者を含む倫理委員会によって支持されることである。また、プラットフォームの運用規則は完全に透明性が確保されなければならない。完全なコンプライアンスを確実にするため、この新プラットフォームは高等教育・就職総局直轄部局によって運用される。

 

最後に、APB開発チームによる作業の技術的品質は素晴らしいものであったが、APBの失敗は技術的なものではなく、政治的失敗であった。したがって、このツールを再設計し、また、名前を変更する必要がある。それは2018年新学期になるだろう。

 

2017年9月28日

 

Ministère de l’Enseignement supérieur, de la Recherche et de l’Innovation:Discours de Frédérique Vidal à la conférence de presse de rentrée étudiante 2017

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