【ニュース・フランス】2015年新学期:学生生活環境の改善

新学期を前にして、ナジャット・ヴァロー=ベルカセム、ティエリー・マンドン両大臣は、大統領の意向に沿って学生生活環境の改善に乗り出すことを発表した。

2015年新学期は学生の生活費について、弱いインフレーションが指摘される。
フランス国立統計経済研究所(INSEE)によれば、生活物価は全体で、直近12ヶ月で0.2%のインフレーション率を示している。学生生活に関係するもっとも重要な項目についてみると、家賃はこの1年で+0.5%と非常に緩やかな変化を示し、光熱費については、水道が+1.4%、電気が+4.3%、ガスが-2.2%とさまざまであり、非アルコール飲料を含む食糧費の上昇は非常に軽微であり(+0.3%)、医療費は1.5%の減少を見ている。一方、公共交通機関を利用した交通費は2.6%の上昇、燃料費は-7.8%と大きく減少している。
学生が感じるインフレーションは消費動向に直接関係している。学生生活にかかる費用を算出するのは容易ではないが、学生生活のいくつかのモデルを設定することで、より明確になる。ここでつぎのような仮説を用いる。学生は総予算の20%を食糧費に充て、4%を医療に、余暇を過ごすための耐久消費財、通信費、文化、スポーツ、レクレーションに9%を費やすとする。

・ 家賃が全予算の40%に上るが、燃料費を必要としない学生は(たとえば、パリに住む学生は公共交通機関で移動するので、その費用は予算の6%となる)、年率インフレーションは平均を上回る0.5%に達する。
・ 個人用の乗り物を使う必要がある学生では(15%は燃料費、2%は交通費、22%は家賃、そして19%は食糧費)、学生にとっての年率インフレーションは0.3%と平均をわずかに下回る。
・ 家賃が総予算の1/3となる学生の場合は、交通費が5%、燃料費が4%となり、年率インフレーションは0.2%である。
この新学期に学生が実感するインフレーションは、一般家庭が感じているものに近い。ただ、学生の場合には、一般家庭に比べ、予算に占める家賃の割合が高い。

学生の生活条件を改善するための政府の施策
2012年以来、4億ユーロが、学生の社会的境遇に応じた奨学金のために投入されてきた。2013年、2014年の改革では、新たに「0 bis」というランクを導入して、家計が中級クラスの132,500人の学生を対象に1,000ユーロ/年の奨学金枠を創設し、もっとも低所得の家庭の30,000人の学生に対してランク7という新しい枠を設けて、奨学金を15%(800ユーロ/年)引き上げるとともに、自活している学生2,000人を対象に、年4,000から5,500ユーロの給付を行う。
2015-2016大学年度は学生に有利になる年となる。すなわち、前年度に対して、授業登録料は据え置きとなる(これまで、据え置きとなったことはない)。奨学金を受給している学生にとって、それぞれの社会的状況に応じて給付額はインフレーションを考慮した額となる。
2ヶ月以上研修を行う場合に給付が義務づけられている給金(gratification)*の最低額は2015年9月1日に3.30ユーロから3.60ユーロに引き上げられ、月45ユーロの増加となる。大学で研修を行う350,000人の学生が恩恵に預かることになる。
2017年末までに、学生向けの住居40,000室が建設される。すでに2014年以来、11,912室の学生向けの部屋が作られており、今年12月までには目的の半分近くを達成することになる。
民間アパートに入る学生向けに2014年新学期から導入されている学生借家保証金制度(CLE:Caution Locative Etudiante)が資金に乏しい学生を支援してきた。2014年には3,000人の利用者があったのに比べ、2015年6月末で4,600人以上の学生がこの制度を利用している。

*給金(gratification):
大学、公的機関、あるいは企業での研修(インターンシップ)は1大学年度内で6ヶ月を越えてはならず、同一機関での研修期間が合計2ヶ月を越えるときは、研修元は給金(gratification)を支払わなければならない。支給額はその年の社会保障対象最高額(1時間あたり)に連動して定められる。2015年9月1日現在、24ユーロ/時間が同最高額であり、その15%、すなわち、1時間につき最低3.60ユーロを研修生に支払わなければならない。これは収入とは見なされず、課税対象とはならない。

URL1: http://vosdroits.service-public.fr/professionnels-entreprises/F32131.xhtml
URL2: http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid91949/rentree-2015-le-gouvernement-agit-pour-ameliorer-les-conditions-de-vie-des-etudiants.html

地域 西欧
フランス
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価