世界でもっとも強力な中性子源となる欧州核破砕中性子源(ESS)はヨーロッパの15のパートナー間の協力を促進する法的な機構を備えた。フランスからはフランス国立科学研究センター(CNRS)及びCEA(le Commissariat à l’énergie atomique et aux énergies alternatives、フランス原子力・代替エネルギー庁)がその建設に参加しており、2019年の加速器の完成によって初の中性子束が生まれるであろう。これを実現するための「EU研究施設コンソーシアム(ERIC)」ESSが2015年9月8日に正式に発足した。スウェーデンのLundで2014年10月に建設が開始された国際的な超大型装置が完成すれば、中性子ビームを使った基礎研究・応用研究が進歩するであろう。この装置の完成とともに、これまでスウェーデンとデンマークの両政府のもとで進められてきたESS ABという機構が担ってきた管理組織も変化し、今後はERIC ESS、すなわちこの研究計画の15の参加国のオペレータに完全に立脚するようになる。ESS ABのインフラと職員(40ヶ国籍)は2015年10月1日に新しい機構に移管される。
ESSへのフランスの貢献
ヨーロッパ15か国がESSの加速器とその付帯設備建設に関わっているが、フランスはプロジェクトの主要メンバーとして、基本的にCNRSとCEAが関わっている。これは国民教育・高等教育・研究省が付託したもので、破砕反応によって中性子を作り出すのに用いられる陽子を生む強力な加速器の基本部分を担当するとともに、中性子回折実験を行うために必要な16の装置のうち、4つに参加することになっている。