【ニュース・フィンランド】急がれるオープンサイエンス化に国が本腰

オープンサイエンス*はフィンランドの科学政策の最重要事項の一つである。教育文化省はフィンランドを2017年までにオープンサイエンスに関して他国を牽引する国にするという方針を示した。2020年までに全ての科学出版物をオープンアクセス化する狙いがある。
フィンランドは、オープンリサーチとイノベーションを推進するEUの活動方針に貢献しているだけでなく、2020年までに全ての科学出版物をオープンアクセスにするというEUが定めたEU加盟国共通の目標を達成すべく、寄与している。目標を実現させるためには、現在の慣習を変える具体的なアクションが早急に求められる。
フィンランドは国際的な科学出版社最大手と科学誌の契約交渉を国家レベルで進めている。この交渉が成功すれば、科学誌購入にかかる高額な費用に喘ぐ科学コミュニティーが救われる。また、フィンランド研究者にとって研究成果を公表する機会が増えることからも、この契約の成立は重要な意味を持っている。オープンサイエンスは、フィンランドの国を挙げた契約交渉のスタート地点と言える。国は、全ての研究者にとって公開が当たり前のこととなるような解決策を取るよう、全ての関係者に対して指示した。 
フィンランドの研究団体は大手国際出版社に毎年何億ユーロも払わされている。2016年夏に発表された調査によると、フィンランドにおける科学誌購読費は、2010年~2015年の間に毎年10%ずつ増額している。今後は、この費用を減らしていかなければならない。さらに、出版業界は公開を求める世間の声が高まっていることを考慮して、ビジネスモデルを刷新する必要があるだろう。

 

* オープンサイエンス
科学論文の根拠となる実験データなどを、インターネットを活用して公開、共有化する動き。多種多様な研究者、研究領域が生み出した知識を組み合わせ、研究を加速させるだけでなく、新たな知識を生む触媒にもなり得る。(国立情報研究所ニュース NII Todayより)

 

【出典】
フィンランド教育文化省:Avointa tiedettä edistettävä kaikin keinoin

地域 北欧・バルト三国
スウェーデン、その他の国・地域
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 研究
その他 その他