【ニュース・フィンランド】学生奨学金支給額の減少を学生ローン増加で補う

フィンランド政府は高等教育における学生奨学金の受給額上限を中等教育のそれと一致させる案を議会に提出した。これにより、 受給金額の上限は月々250.28ユーロ(約3万500円)にまで減額される。一方、学生ローンの政府保証額の上限については、国内の学生であれば400ユーロ(約4万9千円)から650ユーロ(約7万9千円)に、留学する学生であれば700ユーロ(約8万5千円)から800ユーロ(約9万7千円)にそれぞれ増額される。また、18歳未満の学生と高等教育機関以外で勉強している学生に対すローン保証額は月々260ユーロ(約3万2千円)から300ユーロ(約3万7千円)に増額される。
今後は、中高等教育間の格差を是正するため、18~19歳の中等教育の生徒や一人暮らしの学生の受給額において、親の収入は影響しない。 
また、将来的には、学生は原則として、家賃補助に代わり一般住宅手当を受け取るようになる。すると、低収入かつ家賃が高額である学生が最も恩恵を受ける。例外として、学生寮に入る学生やフォークハイスクールの有料のコース、スポーツ機関、サーミ教育機関などに所属する学生の場合は、引き続き家賃手当てを受ける。また、国外で学ぶ学生には、受給上限額を210ユーロ(約2万6千円)とした家賃補助が用意されることになるだろう。
以上のことから、例えば、フィンランドで学ぶ18歳以上の一人暮らしの学生に支払われる支援金の上限額は、月々900.28ユーロ(学生奨学金250.28ユーロ+ローン保証金650ユーロ)(約11万円) であり、同様の学生が国外で学ぶ場合は、月々1260.28ユーロ(学生奨学金250.28+ローン保証金800ユーロ+家賃補助210ユーロ)(約15万4千円)が上限額となる。
しかし、学生奨学金と学生ローンを合計した経済支援額全体について見れば、高等教育を受ける18歳以上の一人暮らしの学生が受け取れる額は、22%増加する。奨学金とローンを組み合わせることで、この新制度導入後は以前より手厚く学生の生活費を支援できるようになり、学生が勉学に集中できるように後押しする。
一方、高等教育の学生が経済支援を受けることができる最長期間は、合計64か月から54か月に短縮される。さらに、学年ごとの支援期間は最長でも2か月までとなる。360単位の取得に値する学部生と修士学生の場合は、合計57か月である。

 

【出典】
フィンランド教育文化省:Opintorahan tasoon ja kestoon muutoksia

地域 北欧・バルト三国
スウェーデン、その他の国・地域
取組レベル 政府レベルでの取組
学生の経済的支援 学生向け奨学金