【ニュース・フィンランド】フィンランドが大学への予算を削減

フィンランドが経済不況に陥った2015年、同国政府は国内の15大学及び26のポリテクニックの運営費を今後4年間で約5億ユーロ(約620億円*)削減することを発表した。併せて、1億ユーロ(約124億円*)の研究費削減も同時に発表された。

 

フィンランド国外への高学歴人口の流出が増加する中で、今回の政府予算削減は、フィンランドの高等教育に長期的な損害を及ぼすと学術界は不安視する。フィンランド統計局の調査では、2011年から2015年の間、博士後期課程修了者のうち、国外に移住したフィンランド人は37%増加したことが明らかになった。特に研究職以外において就職がより難しいとされる人文科学及び自然科学系の分野で顕著に見られた現象である。

 

大学及びポリテクニックの予算減の結果として、2017年末までにヘルシンキ大学では約1,000名の職員が、アアルト大学では350名が予算減を理由に解雇することを強いられている。アアルト大学のTuula Teeri学長は、フィンランドのほとんどの大学がより小規模になっているが故に予算減に対応できないと指摘する。
フィンランドの学術界では、政府予算の減少は修復困難な損害を与えるだろうと考えられており、政府が学術界からの信頼を取り戻すのは容易でないかもしれない。

 

*円表記はJSPSストックホルム研究連絡センターが追記

 

【出典】
Times Higher Education:Finland funding cuts a ‘catastrophe’ for research

地域 北欧・バルト三国
スウェーデン、その他の国・地域
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 予算・財政