ドイツ研究振興協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)はドイツにおける若手研究者のさらなる支援拡大のため15のリサーチトレーニンググループ(RTG)の支援を開始する。このうちの2つはそれぞれオーストラリアと中国を相手国とするインターナショナルリサーチトレーニンググループ(IRTG)である。これは春にボンで開かれた助成委員会において決定された。4年半の支援期間に約6,600万ユーロもの資金が提供され、そのうちの22%はプロジェクトにかかる間接経費として認められている。新しく採択されたグループに加え、助成委員会により選ばれた5つのグループについてはさらに4年半の支援期間延長が認められている。
RTGは博士課程の研究者たちに、整った研究設備と質の高いプログラムでもって、高い学術レベルで博士論文を完成させる機会を提供する。DFGは現在のところ、213のRTGを支援しており、そのうち40はIRTGである。また今回採択された15のグループに対しても2017年9月に新たに支援を開始する予定である。
この新たな支援決定に加えて、助成委員会は、RTGプログラムの基本的な問題に取り組んだ。基本的な問題というのは、特にそれぞれのRTGの研究テーマの範囲を越える、分野横断的、総合的な能力を身につけるための手段についてである。事務局長のツヴォネク氏はエクセレンス・イニシアティブの一環として、例えば大学院に作られた、こうした研究テーマの範囲を超えた分野横断的・総合的な能力を身に着けるための組織について助成委員会に報告した。RTGプログラムでは、こうしたタイプの組織に経費はこれまで一律で配分されてきたわけではないとし、「DFGは経済的な支援を一定の方法で行うことがとても重要だと考えている。博士課程の研究者たちが与えられたテーマを越えて専門知識を身に着けていくための手段になる経費は、それぞれの環境に関係なしに、引き続き利用できることが必要である」と述べる。
DFG総長のシュトロシュナイダー博士は、最初の報告の中で、与えられた研究テーマを越えた専門知識を身に着けることを、現在の世界の政治情勢、研究とその自由を脅かしている状況を考慮して、研究と若手研究者のサポートの役割についてのコメントに結び付けている。「特にRTGは、この点において特別な役割を持つ。RTGは、人を、包括的な知識を持った、自分の専門分野以外からの貴重な意見にも重きを置き、既存の論理に疑問を持ち、科学が複数の研究領域によって成り立っているということに気付ける研究者に育てなければならない。」とDFG総長は述べる。
2017年5月15日