【ニュース・ドイツ】米国の入国拒否に関する共同声明

科学的な洞察は、率直で自由な国際的かつ偶発的な対話から生まれるものである。それは学問分野や国家、文化間の学際的な人的交流にかかっている。先週金曜日、米国大統領が署名した大統領令は、民族に対する人種差別やひいては科学の基本的価値観に対する侵害行為でもある。したがって、ドイツの学術機関は大統領令の執行を非常に懸念している。これはテロとの必要な戦いにおいて用いる正当な手段などではなく、学術的協調にとって非常に重要である国際交流を大きく損なうこととなるだろう。
イラクやイラン、イエメン、リビア、ソマリア、スーダン、シリアの市民に対し適用された米国への入国禁止の実施にかかる詳細があいまいであるにもかかわらず、科学分野において初期の結果はすでに明らかである。国際的に認知された多くの学者が米国への入国を認められず、その結果、学術会議やシンポジウム、セミナーへ出席できなくなっている。現時点で、今後の方針が明らかになるまで、米国の学術機関は学生や研究者を保護するために、彼らの出張を見合わせざるをえないと感じている。
社会の基本的条件が信頼でき、確実な計画が可能であるということは、国際的な学術と研究にとって不可欠な要素である。孤立主義政策へ向かうこの動きの結果は、現在のところは予測できないが、確実に科学大国である米国を超えて広く波及するだろう。とりわけ、国際的な危機の時代において、学術は国家間の重要な繋がりとなり緊急に保護されなければならない。それゆえ、ドイツの学術機関は即座に入国禁止令を撤回するよう米国政府に要請する。我々は言うまでもなく、当該大統領令により影響を受けている学者およびアメリカ人パートナーを支援する。また、ドイツの学術機関は大統領令の法的な意味合いを迅速に明らかにすることを要求し、大西洋を横断する対話の一環としてこの問題を議論するためのドイツとアメリカの接点となるつもりである。
フンボルト財団(AvH)、ドイツ研究振興協会(DFG)、ドイツ大学長会議(HRK)、ライプニッツ協会、ドイツ国立学術アカデミー・レオポルディーナ、ドイツ学術交流会(DAAD)、ドイツ研究センターヘルムホルツ協会、マックス・プランク協会、ドイツ科学・人文学評議会による共同声明。

 

2017年2月3日

 

AvH:Joint Statement on refusal of entry into the United States

地域 中東欧・ロシア
ドイツ
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 研究
国際交流 研究者交流、国際化
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