【ニュース・ドイツ】研究及びイノベーションに関する専門家委員会(EFI)がデジタル化や中小企業のイノベーション等の強化を提言

研究及びイノベーションに関する専門家委員会(EFI)は、研究・イノベーション・技術力に関する9回目の答申をメルケル首相とヴァンカ連邦教育研究相に提出した。とりわけ答申には、デジタル化を通した付加価値創造と雇用創出という方針が提言されており、連邦政府は、中小企業のためのデジタル化、イノベーション、研究支援を重点的に推進することが今後見込まれる。
EFIは、連邦政府が政権初期において、IT安全性の研究枠組みプログラム「プラットフォーム・インダストリー4.0」、「インダストリー・データースペース」イニシアティブ、医学情報奨励、ドイツインターネット研究所の設立等の重要な政策を実施してきたことを評価している。
一方で、中小企業のイノベーションに対する姿勢分析の結果として、国際的に比較してイノベーションにかかる支出が少なく、また集約できていないことを挙げている。これをうけて、連邦教育研究省は1月、「中小企業のための優先ルール(Vorfahrt für den Mittelstand)」という10項目プログラムを発表し、中小企業のさらなるイノベーションのための政策を新たに提示した。この10項目プログラムは、地域の大学やその他の研究機関とのネットワーク形成、中小企業の助成支援、専門的人材の雇用確保、そしてデジタル化やヘルスケア、持続可能性に関する重点的分野において中小企業の強化を目的としている。
このように、ドイツは研究とイノベーション推進の姿勢を強めており、2014年には政府と民間あわせて840億ユーロを研究開発に投資している。国内総生産に占める研究開発費用の割合は2.9%であり、欧州委員会のイノベーション・ユニオン・スコアボードでのイノベーション実績にかかる国際ランキングでドイツは上位に位置し、すでに長期にわたってイノベーションを先導していることから、成果を発揮しているといえる。ヨーロッパにおける研究開発に最も強い10企業のうち6社がドイツの企業であり、労働市場においてもこのことが反映され、研究部門において2005年から20014年の間に12万6000人分の新たな雇用が創出されている。
EFIは、2007年より、科学技術・イノベーション政策に関する学術基盤的政治諮問機関であり、毎年進捗状況の評価や方針について提言を示している。ヴァンカ連邦教育研究相は、連邦政府は慎重に答申を吟味し、2016年5月に科学技術とイノベーションに関する連邦報告において所信表明すると述べた。

 

Bundesministerium für Bildung und Forschung:Entscheidende Zukunftsthemen gesetzt

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