【ニュース・ドイツ】ドイツ研究振興協会(DFG)が年間レポートを公表

ドイツ研究振興協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)は、2016年に年間で、3万1,000件以上の研究プロジェクトに対して総額約30億ユーロを助成した。これらのプロジェクトのうち、約7,900件は新規採択されたものであり、約20億ユーロが配分された。2015年と比較すると、助成されたプロジェクト件数は3%以上増加し、その助成額は6%以上増加した。これらの数値は、2017年7月5日にハレ(ザーレ)にて開催された、DFGの年次総会の中で提出された2016年の年間レポートによるものである。

 
2016年のDFGの活動(注目すべき結果と数値)
DFGは、2016年に合計で3万1,485件のプロジェクトを助成した。その助成額の総額は約30億3,300万ユーロであり、67%以上が連邦政府、約32%が州政府によるものであった。2016年の助成額は2015年と比べると1億9,300万ユーロの増加となり、助成プロジェクト数は、1,014件の増加となった。新規採択の件数は、2015年の7,920件から7,933件への微増であるが、助成額は、19億3,000万ユーロから約20億5,000万ユーロへの増加となった。

 

2016年には、プロジェクトの半数以上、すなわち1万5,902件が個別助成プログラムであった。これらのプロジェクトに対する助成額の総額は約10億ユーロであり、2015年と比較すると、1億1,000万ユーロの増加となった。リサーチ・トレーニング・グループなどの共同研究プログラムで助成されているグループは816あり、それらのグループによるプロジェクト件数はおよそ1万3,300件であった。それに対する助成額は合計で約10億2,500万ユーロであった。エクセレンス・イニシアティブのプロジェクト件数は99件であり、その助成額は約5億3,300万ユーロであった。

 

分野別の助成額構成をみると、2016年は生命科学分野が最も多くの助成額を獲得し(総額の34.7%)、その助成額は約10億ユーロであった。それに続いて、自然科学分野の6億6,500万ユーロ(21.9%)、工学分野の5億8,500万ユーロ(19.3%)、人文社会科学分野の4億6,800万ユーロ(15.4%)となった。分野横断的なプロジェクトへの助成額は2億6,300万ユーロ(8.7%)であった。

 

この年間レポートは書籍としても刊行され、上記の内容以外の統計に加えて、採択されたプロジェクトの内容、助成活動の焦点となる領域、研究システムや科学政策に関するDFGの取り組みについても説明している。エクセレンス・イニシアティブに重点を置いていた前年と同様に、2016年は、そこから発展したエクセレンス戦略とそのプログラムについて、重点的に説明している。しかしながら、DFGのシュトロシュナイダー(Peter Strohschneider)理事長とツヴォニク(Dorothee Dzwonnek)事務局長が「多くの助成プログラムの中から、最もよい知識先導型の研究に対して、DFGは助成を行っている。」とレポートの前書きに書いている点からも、エクセレンス戦略だけがDFGの焦点となっているわけではないことは明らかである。

 

シュトロシュナイダー理事長とツヴォニク事務局長は、ドイツとその他の国々の研究をとりまく現状について、前書きの中で言及している。ドイツの学術活動全体と同様に、DFGの活動は、「広範囲の政治的信頼と公的な信頼」を享受した。「権威主義者や大衆主義者による、学術とその自由への侵害を、世界中で増々多く目にするようになったが、DFGの状況は、これとは明確にいい意味で異なっている。我々の研究システムの公平さと多元主義を評価し保護することは、より重要となっている。」と述べられている。

 

2017年7月5日

 

DFG:Drei Milliarden Euro Fördermittel, 31 000 geförderte Projekte

地域 中東欧・ロシア
ドイツ
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