【ニュース・タイ】日本がタイの人材育成を後押し-王国は人材育成のハブを目指しているが課題は多い

Nationマルチメディアグループ編集・管理委員会のSuthichai Yoonチーフアドバイザーが第1回人材育成円卓会議のモデレーターを務め、市場の真の需要は何か、市場に十分な量の人材を供給するための解決策と体系立った方法について議論した。この会議は日本国際協力機構(JICA)、在タイ日本大使館ならびにNationマルチメディアグループが共催した。

 

タイのASEAN地域の人材育成ハブとしての地位を確立させるため、日本とタイの公的・民間セクター、教育機関が協力して良質なSTEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)教育の強化に取り組む。

 

一方、産業界、教育機関、トップ企業の経営者たちは、タイの主要産業では労働力が不足しているため、市場の真の需要に応えるため、タイの教育界と政策決定者が人材育成についてもっと緊密に連携するよう提案した。

 

JICAの池田修一所長は、産業人材育成教育に関する調査に触れて、技術専門学校は量と質両方において産業界のニーズを満たしていないと述べた。加えて産業の価値を高めるために期待される能力を卒業生が習得できるよう、技術専門学校と職業訓練学校を強化すべきであると述べた。

 

Teerakiat Jareonsettasin教育副大臣は、これらの課題に対処するためには、政府は人的資本に投資し、経済界からの強力なサポートのもと、市場に受け入れられる環境を作ることが必要であるとした。また、「教育の質を改善するため、海外の教育機関に対し自由で公平な競争の機会を提供する事に加え、大学の自由化がきわめて重要である。ついては、我々は大学が大規模事業と民間企業の事業に参画するよう働きかけなくてはならない。」と述べた。

 

Bandhit Rojarayanont泰日工業大学長は、「43年にわたって人材育成に携わっており、3,000から4,000の企業と接点がある。うち20%が、英語と日本語でのコミュニケーション能力に加え、ソフトスキルを備えたエンジニアを必要としている。」と述べ、Bandhit学長は、「日本語能力がプラスアルファであるのに対し、英語のコミュニケーション能力は必須である。ソフトスキルはエンジニアが企業文化とうまくつきあうのに役立つ。」と続けた。

 

佐渡島志郎駐タイ日本国大使は、「タイと日本はwin-winの関係である。中進国の罠から脱するため、そして現在の労働集約型構造から知識集約型構造に変えるため、産業界が独自の革新的な製品を製造する十分な能力を有していることが非常に重要である。」とコメントした。

 

トヨタ自動車タイランドの棚田京一社長は、タイのエンジニアを日本に派遣する訓練プログラムを継続的に支援しており、トヨタは10年以内にタイ人がトヨタのR&D部門においてチーフエンジニアになることを期待していると述べた。

 

(2016年3月23日 The Nation紙)

地域 アジア・オセアニア
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