【ニュース・タイ】教育改革における大学の役割

2015年1月8日チェンマイ大学において行われた教育副大臣のKrissanapong Kirttikara博士が座長をつとめた会議において、“教育改革における大学の役割”にかかる方針が発表された。この会議にはタイ国内の大学や連携ネットワークの副学長や役職員等50名が参加した。議事の要約は次のとおり。

-運営体制:大学のシステムの強化にとって最も重要な要素
Kirttikara博士はこの会議の開催目的について、体験を共有すること、それぞれの大学の強みと特徴を認識すること、お互いの成長を相互に助け合うことであると述べた。さらに、予算以外にも大学が利用できる外的資源は数多くある。博士は、前進するためにはっきりとした方向性を打ち出せるよう、国内の変化を理解してほしいと述べた。
過去20年にわたり20以上の大学評議会との仕事に携わった経験から、大学システムを強化するために最も重要な要素は優れた管理体制の構想であると博士は考えている。また、教育政策や計画は、教育と学習、研究、研究支援、芸術・文化の保護といったミッションに沿ったものでなくてはならない。
しかしながら、こういった事業はすべて大学のイメージを強化し大学の役割について一般市民の認識を高められるよう、優れた管理体制の下で運営される必要がある。すべての大学の事業は地域社会のニーズに応えるものであり、利益となるものでなくてはならない。

-“Outside-in”の提案
博士は参加者に、他者の意見に集中する、すなわち“Outside-in”アプローチをとるよう促した。他者の意見を取り入れてみることで、それまで有用であると考えていた教育改革の方向性が十分明確でなかったことに気づくこともある。大学の行っている事業は多くの人にとってわかりづらいものであるので、大学はコミュニケーションに力を入れ、実施している事業をわかりやすく一般市民に紹介する必要がある。

過去の調査によると、大学の卒業者3名中1年以内に就職できるのはうちわずか一人であった。このため、博士は大学に、政府からの投資、親の負担、学生が費やす時間(最大4年間)等を考慮し、コースを見直すよう求めた。

-市民への説明責任
現在大学の抱える、苦情、処罰、学生ローンの支払いや大学のコースといった課題は市民に公開されている。大学が設置するコースは卒業者の就職率に反映されるため、コースの中には開設が不要と思われるものもあり、見直しが行われるべきである。このことは大学がまだ市民への説明責任を果たしていないことを示している。

-国内の人材への需要
大学は、水道システムの開発や大量輸送交通の開発(高速鉄道計画)等、国のインフラ整備や大規模計画の実施に役立つよう、労働年齢の人材確保等、国の発展目標に沿って人材を輩出すべきである。

-チェンマイ大学:大学の自治に対する評価の規範
自治大学の一つであるチェンマイ大学の評価に参加して、博士はチェンマイ大学の運営は大学によりよい変化を生じさせたと感じたため、チェンマイ大学は他の自治大学の規範となってほしいと述べた。自治大学は、地域社会と国にもたらした利益に基づいて評価されるべきであり、大学の事業に対する投資は、事業がもたらした利益によって評価されるべきである。評価には実践的証拠、正確な卒業・修了者数、イノベーションや論文発表数等が用いられるべきである。

-経営企画担当部署は大学のブレ-ンであるべき
博士は大学の経営担当部署が事業の計画・運営において重要な役割を果たすよう求めた。こういった部署は大学のブレーン として“Outside-In”“Inside-Out”両方のアプローチを用いて市民の認識を促すべきである。

大学は批判に効果的に対応することで、地域社会とタイの発展に寄与できると繰り返し述べた。

(2015年1月13日 タイ教育省HP)

地域 アジア・オセアニア
タイ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
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社会との交流、産学官連携 地域連携、社会貢献