【ニュース・タイ】教育の質は相互関連し合う世界において発展のカギとなる、とUNESCO当局

「社会は、世界がますます相互関連し合う意味を理解するための新しく、革新的な考え方を必要としている。」とUNESCOバンコク事務所アジア太平洋地域教育局のトップが昨日バンコクで述べた。

 

当局のDr. Gwang-Jo Kim所長によると、「その取組では、全レベルにおいて質の高い教育が求められる。」とのことである。

 

Kim氏は、第18回UNESCO-APEID国際会議「質の高い教育を求めて-過去、現在、未来-」のオープニングで講演を行った。

 

この3日間のイベントには、約180名の政策立案者、研究者、大学関係者及び教員が集まり、質の高い教育とは何かを模索し、重要な問題について議論し、そしてアジア太平洋地域における学習を改善している革新的な取り組みを共有した。

 

Kim氏は次のように述べた。「国際社会は持続可能な開発目標4、これはすべての国に“包括的かつ公平な質の高い教育の確保、生涯学習の促進”を求める目標で、今会議のテーマは時宜にかなったものだった。」

 

「教育には、持続可能かつ包括的成長へとつながる適切な種類のスキル、姿勢、行動を育成する責任がある。そのためには変革的教育が必要である。最終的に、我々は自分達自身、そして周囲の人々を変える教育について話し合うつもりである。」

 

「持続可能な開発目標4とEducation 2030アジェンダは、この構想を達成するめに考案された。」

 

同会議の公式開会挨拶でDapong Ratanasuwan教育大臣は10月13日に逝去したBhumibol Adulyadej国王に敬意を表し、前国王の功績、特に教育に関する開発事業に関する特別発表を行った。

 

Dapong大臣は「国王の“足るを知る経済”哲学は、国連の持続可能開発目標と完全に一致しており、現政府は引き続き前国王の歩みを継承する。」と述べ、また、「アジア太平洋全ての国々のEducation 2030アジェンダ達成期限は同じあるが、スタート地点から達成目標までの距離は各国で異なる。」と言及した。

 

「国によって大きく異なる開発事情やレベルを検討する時期がきたとき、アジア太平洋地域の全ての国々はEducation 2030アジェンダを確実に達成するために何をすべきか?」と同大臣は問いかけ、「1つの解決策として、実現可能で各国の実情に対応可能な最善の取組を選択することがあげられる。」と続けた。

 

シンガポールにあるLee Kuan Yew公共政策大学院のKishore Mahbubani学院長は、同会議の基調講演「Raja Roy Singh Lecture」(※Raja Roy SinghはかつてUNESCOバンコク事務所長を務めた人物)を行い、「アジアは高等教育の次期超大国となりうるか?」と問いかけた。

 

Mahbubani氏は、アジアがますます発展し、またアジアの大学がさらに重要な役割を担う世界史上の新時代に突入していると主張した。

 

同氏は、中国の高等教育におけるコホート参加者の割合が1990年の3%から2013の30%まで上昇しており、高等教育の奇跡が起こっている国として、同国を引き合いに出した。

 

また、インドも同割合が1990年の6%から2013年の24%まで上昇しており、インドの成功も強調した。

 

しかし、同氏は、両国の高等教育の質は、量的な急速拡大についていけていない、と指摘しつつ、アジアの同じ状況下にある国に対してアジアが高等教育をリードする役割を担うよう要請した。

 

同氏は次のようにも述べた。「アジアの様々な国の大学間連携の改善は、関係改善と相互理解の架け橋となるだろう。」

 

「大学は真の政治的勇気を示す必要がある。国際的な区分に関わらず、我々は大学であり、人類遺産の擁護者である。我々は一時的な政治的対立によって縛られたり影響を受けてはならないのである。」

 

「アジアの大学がそのような政治的勇気を示すことができれば、我々は最終的によりよい世界、そして、アジアが高等教育の超大国として台頭する世界を迎えることができる。」

 

同会議では、質の高い教育のコンセプトと枠組み、教育の質を向上させるイノベーション、質の高い教育の査定・監視・評価、そして質の高い教育のための効果的な政策と戦略が検討されるテーマとして結論付けられた。

 

(2016年10月29日 The Nation紙)

地域 アジア・オセアニア
タイ、その他の国・地域
取組レベル 国際機関レベルの取組、大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育、質の保証