【ニュース・タイ】失業率がタイの教育制度にスポットを当てる

タイ工業連盟(FTI)によると、多くの産業で熟練労働者が不足している一方で、ここ数ヶ月のタイの失業者数は同国の新規投資の不足を反映しており、これは国の教育部門の失敗を示している。

 

しかし、失業率は先月1.2%に上昇したが、多くの産業が雇用レベルを維持しているため、企業に対する圧力団体はいまだにこのことを問題視していない。新規投資が不十分で新卒者が就職できていないため失業率が高くなっており、さらに新卒者の中には企業側の要求を満たしていないものもいる。

 

FTIのChen Namchaisiri議長は「多くの産業は依然として外国人労働者を雇用し、熟練労働者を求めているので、ほとんどの産業では既存労働者を解雇していない。」と述べ、
「自動車産業界におけるここ最近の解雇は、雇用契約の満期によるものであり、経済成長の失速によるものではない。」
「新規の学士卒業生、特に職業学校の卒業生は、彼らのスキルが産業側の要求を満たしておらず、就職時の困難に直面している。」と続けた。

 

同議長はまた「失業率が上昇したことは産業成長に仕える労働者を輩出するタイの教育制度がうまくいっていないことを反映している。」

 

「特にタイ政府が先端技術産業クラスターに重点を置いていることに伴い、政府は熟練労働者を輩出し、職業学校のイメージを改善することに重点を置いた教育制度を開発するべきである。」と述べた。

 

また「タイの職業学校を魅力あるものにしなければならない。タイのより多くの保護者が、卒業後の就職を保証できる職業学校に自分の子供たちを積極的に入学させるよう、同協会は、職業学校が開講コースのシラバスやイメージを改善するために国外の職業学校と協同するよう奨励してきた。」とも述べた。

 

FTIは、専門的職業を推進すべく多くの外国の職業学校と協同している。目標とする国には、これまで質の高い職業教育を受けた卒業生を輩出した実績のある日本、オーストラリア、ドイツが含まれている。

 

タイの国家経済社会開発委員会事務局によると、失業率は数年前の0.6~0.9%から先月の1.2%まで連続的に上昇した。

 

さらに、昨年大学を卒業した学生270,000人のうち約3分の1(27%)が就職できなかった上、多くの産業は依然として主に職業学校出身のスキルを持った労働者の雇用を求めている。

 

タイ高等教育委員会は、昨年の大学卒業生270,000人の半数以上は社会科学、人文学、教育科学の学位を取得しており、これらは産業界での需要はあまりないと報告した。

 

タイ商工会議所の副所長Bhumindr Harinsut副所長は「経済成長が低下しているさなか、企業が新規投資を拡大または誘致できなかったことが失業率の上昇を招いているが、現在のところ解雇の兆しはない。」と述べた。

 

同副会長は「卒業生の70~80%は産業・企業側の要求に応えることができていないため、失業率はここ数か月で上昇した。」とも述べている。

 

商業省Suvit Maesincee副大臣は、政府がThailand 4.0モデルを奨励することによって、十分なスキルを持たない労働者が失業してしまうことを認めた。

 

政府はこの問題の解決と教育制度の開発促進に取り組む。

 

(2016年7月20日 The Nation紙)

地域 アジア・オセアニア
タイ
取組レベル 政府レベルでの取組、大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育
人材育成 学生の就職、若手研究者育成