【ニュース・タイ】タイの大学が世界大学ランキング入りと採算合わせに苦戦

世界大学ランキングにランク入りするために学術面での活動を強化する一方で、高い採算性を維持することがタイの大学が直面している主要な課題である、と教育の専門家は述べた。

最近開催されたタイ国外国人記者クラブのフォーラムにおいて、グローバル化の時代におけるタイの高等教育改革が議論された。

Teerakiat Jaroensettasin教育副大臣は次のように述べた。
“タイの大学は世界大学ランキングの波に飲み込まれており、世界のトップ大学に入ろうとして競争している。我々が目指しているのはトップ100あるいはトップ300に入ることである。多くのランキングシステムが存在しているが、それらのシステムは同一のものではない。”

それぞれのランキングシステムはそれぞれ異なる質の評価方法を必要とするため、結果的に、本当に教育の質を表しているのかどうかははっきりとわからない。

アナンダ・マヒドン奨学生で、“タイの高等教育についての研究-借用の文化-”の著者のRattana Lao氏も、国際舞台で戦うためのタイの大学の様々な取り組みを取り上げた。
Rattana氏は次のように述べた。
“我々は2つの立場の間で板挟みになっている。一方ではタイの大学は上位のランキングを獲得するため、国際化するための条件を揃えたい。しかし、そのための資金を自分たちで調達する必要があるので、プログラムを商業化して確実に売れるようにしなくてはならない。
つまり、タイの大学は二つの課題に直面している。一つはもっと多くの資金を得ること、もう一つは学術面で秀でた大学になること。しかし、もっと利益を生もうと躍起になっているときには、学術的活動を向上させるために割く時間はない。”

商業化されたプログラムは高等教育の学術面での質にも影響する。クラスの人数が多くなればなるほど、学生が批判的思考力や自主学習といったきちんとした学力を養う機会は少なくなる。

“通常、学部生はエッセイを書いたり、興味のあるテーマについて研究しなくてはならない。しかし、たいていのプログラムはカリキュラムが過密であり、そのため学生はきちんとした研究ができない。”

タイの大学が世界のトップ大学になろうと躍起になっている風潮だけではなく、大学の定義もいまだあいまいである。

“高等教育機関の役割とは、大半の学者がよしとする学術的議論のための知的機関なのか、政府の意図している、経済を支える労働者を育成するための技術養成の場なのか、我々は混乱している。高等教育の定義について議論しているのはタイだけではなく、他の国でも両者に線引きをしようとしている。我々がすべきなのは両者のバランスを取ることである。”

(2015年9月28日 The Nation紙)

地域 アジア・オセアニア
タイ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 予算・財政
大学・研究機関の基本的役割 教育、質の保証
国際交流 国際化