【ニュース・タイ】より多くの研究者を輩出するための20年計画を政府が策定

政府は、今後20年間でタイの産業発展に従事する博士研究員を12,000人以上輩出するために340億バーツ以上の予算を割り当てることとしている。

 

Prajin Juntong副首相によると、この20年計画は今年から開始し、Prayut Chan-o-cha首相が議長を務めるタイ国教育・政策開発委員会、いわゆる教育特別委員会にて昨日承認された。

 

同計画は、対象とされる10産業の発展や技術開発、技術イノベーションに重点を置くThailand 4.0のコンセプトに対応する博士研究員12,290人を輩出することを目指している。2016年度においては、10.7億バーツが300件の奨学金に割り当てられる。これは対象産業及びThailand 4.0のコンセプトである「タイで研究を行う極めて優れた研究者をASEAN及びその他6か国から誘致するための60件の奨学金」及び「国立機関や国営企業による研究の一環としての100件の奨学金」に基づくものである。

 

同計画のもと、2017年度も10.7億バーツの予算が博士課程を修了する学生416名を輩出するために割り当てられる。

 

「2018年以降の予算は新政府によって承認される。」とPrajin副首相は述べた。

 

この政策は、タイ研究財団(TRF)が1996年より指揮しているRoyal Golden Jubilee(RGB)PhD事業の一環である。

 

タイ国家科学技術・イノベーション政策事務局によると、タイは2014年人口10,000人当たりの博士研究員は9.5人であるが、先進国での割合はタイの10倍以上となっている。

 

政府の担当陣営は、2036年に人口10,000人当たり博士研究員数を80名にすることを計画している。

 

タイ商工会議所のIsara Vongkusolkit議長は、人材育成への政府投資に賛成している。

 

同議長は「対象10産業の経営者らは、自分たちがどのような専門技能を必要としているのかわかっているので、それに応じた研究者を輩出するカリキュラム策定を支援する機会が同経営者らに与えられるべきだ。」と述べ、「同事業から最善の利益を得るため、国外投資家からの意見にも耳を傾ける必要がある。」とも述べた。

 

タイ工業連盟(FTI)のVallop Vitanakorn副会長は次のように述べた。「タイは新時代に対応するThailand 4.0に取り組んでいるので、今後10年にわたりスキルを持つ労働者への要求を満たすよう、より多くの高等教育修了生を確保するだけでなく、タイの教育制度を進展させる必要がある。」

 

その一方で、同副会長は「私にはタイが実際に必要とする博士課程修了生の分野の詳細を調査することはできない。」とも述べ、
「この政策に関してコメントできるほど十分な知識を持ち合わせていない。」
「しかし、政府が本当に持続可能な方法でタイを発展させたいのであれば、それは正しい行動だろう。」と続けた。

 

マヒドン大学のUdon Kachintorn学長は、大学が研究者を輩出できるよう財政的支援をするこの政府計画に同意した。同学長は「これは良い考えで、全ての大学がこの計画を支援するだろう。」と述べた。

 

また、同学長は「私の目から見れば、タイの全大学にはThailand 4.0に向かって国をリードするためのイノベーションに対して研究を行う能力はあるが、これまでのところ資金不足のためそれができなかった。」
「研究には、どうしても国または民間団体の支援による巨額な予算が必要である。」とも述べた。

 

同学長はさらに、TRF、タイ教育省・科学技術教育振興研究所及びタイ高等教育局を含む研究実施用予算を受ける全機関の業務をとりまとめる委員会を組織するよう政府に求めた。

 

(2016年8月20日 Bangkok Post紙)

地域 アジア・オセアニア
タイ
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 予算・財政、政策・経営・行動計画・評価
人材育成 若手研究者育成、高技能職業人材の育成