【ニュース・タイ】「理系分野での男女格差は学生時代から始まっている」と国連が発表

ユネスコの調査によると、アジアでは科学、技術、工学、数学(STEM)分野で女性に対する賃金格差がいまだに多く見られる。
ユネスコバンコクは国際女性デーにこの調査結果を発表し、このような格差は職場ではなく、学生時代にすでに顕著であることが明らかになった。

この調査は“アジアの科学、技術、工学、数学分野における女性をとりまく複雑な公式”と銘打ち、これまで不足していた科学関連分野における男女格差についての地域調査を補完する形で行われた。ユネスコバンコクのGwang-Jo Kim局長は次のように述べた。
“STEM分野における女性をとりまく課題について対話する上で、この調査は重要な貢献を果たした。また、より包括的な教育、そしてこれらの分野での専門家育成に対し、地域そして社会において増大している需要に実際に応えるような教育実現のための青写真を提供した。
アジア太平洋地域において、多くの国がSTEM分野を国家政策の優先分野と位置づけている。しかし、女性が高等教育に続いて職業としてSTEM分野を選択する機会はもちろんのこと、STEM分野における女性の地位は国によって異なる。”

この調査はアジア全体を対象としていたが、カンボジア、インドネシア、マレーシア、モンゴル、ネパール、韓国とベトナムについてはより詳細な調査が行われた。
アジア地域のSTEM分野における男女格差は、高等教育界や職場で非常に顕著である。韓国では、学士レベルでの女性の割合は、2011年時点で科学分野で52%、工学分野で19.5%であったが、博士レベルではそれぞれ38%、12%と数字が落ち込んだ。
調査によると、女性は数学系の領域よりも科学系の領域を選択する傾向がある。これはSTEM分野における女性の占める割合が他と比較して高いマレーシアのような国でも見られ、医学分野では女性の比率が61%であったのに比べ工学分野では36%に過ぎなかった。
このような傾向は職業選択にも直結している。ユネスコ統計研究所の最新データによると、情報が入手できたアジア地域の17カ国のうち、研究者全体に占める女性の割合が半分以上であったのは、カザフスタン、タイ、フィリピンの3カ国のみであった。

(2015年3月10日 The Nation紙)

地域 アジア・オセアニア
タイ、その他の国・地域
取組レベル 国際機関レベルの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
人材育成 学生の就職、研究人材の多様性
統計、データ 統計・データ