【ニュース・スウェーデン】The Knut and Alice Wallenberg 財団、29名の若手研究者の研究に投資

29名の若手研究者がThe Knut and Alice Wallenberg 財団*の Wallenberg 学術フェロー**に選ばれた。今年は、エネルギー供給や公衆衛生学など今後の重要な問題を含む研究に取り組んでいる研究者達が選ばれている。
「2012年にこのプログラムが始まり、これまでに150名の Wallenberg 学術フェローが誕生した。財団は将来有望な若い才能達が5年間自由に発想を膨らまして研究に没頭できるよう支援できることを嬉しく思う。」とPeter Wallenberg Jr 財団議長は述べる。
このプログラムは、トップクラスの才能を国内に留めると共に、海外の若い研究者をスウェーデンの大学に招き入れることで、スウェーデンを研究国家として押し上げることを目的としている。
「今年のフェローの半数以上は海外の博士学位を取得している。これは、このプログラムがスウェーデン国外においても非常に魅力的に写っていることを物語っている。また、学術界の厳しい競争下にありながらも、選ばれたフェローの40%弱が女性研究者であることは喜ばしい。」とGöran Sandberg 財団常任理事はコメントしている。
Göran K. Hansson スウェーデン王立科学アカデミー事務総長は、「Wallenberg 学術フェロープログラムは、スウェーデンの将来有望な若手研究者達に自分の強みとなる研究分野を築く機会を与えるための投資であり、今日のスウェーデンの研究と発展にとって最も意義のあるものの一つである。」と話す。
当プログラムの受給額は分野によって異なるが、5年間で一人当たり500~900万スウェーデンクローナ(約6,330万~1億1,400万円)を支援される。5年の支援期間終了後も、さらに5年間延長できる可能性がある。
なお、今回選ばれたフェローの研究分野は、10名が自然科学系、4名が社会科学系、6名が技術工学系、8名が医学系、1名が人類学系である。また、推薦大学別に見ると、カロリンスカ医科大学から7名、ストックホルム大学から5名、ウプサラ大学から4名、ルンド大学、スウェーデン王立工科大学、シャルマース工科大学、ヨーテボリ大学から各2名、ウメオ大学、スウェーデン農業科学大学、メーラルダーレン大学から各1名のフェローが誕生した。

 

* The Knut and Alice Wallenberg 財団
ヨーロッパの巨大個人資本家の一つ。毎年合計17億スウェーデンクローナ(約215億円)を主にスウェーデンの大学の様々な政策に対して寄付している。財団基金が対象としているのは、「高い潜在可能性を秘めた科学プロジェクト」、「優秀な科学者に対する個別支援」の2つ部門である。主に、自然科学、技術、医学分野の研究に投資している。

 

** Wallenberg 学術フェロープログラム
The Knut and Alice Wallenberg 財団の資金を基に、スウェーデン王立科学アカデミー(KVA:Kungliga Vetenskapsakademien)、スウェーデン王立工学アカデミー(IVA:Kungl. IngenjörsVetenskapsAkademien)、スウェーデン王立農林学アカデミー、スウェーデン王立遺物歴史文字アカデミー、スウェーデンアカデミー及びスウェーデンの大学の協力のもと設立されたプログラムである。まず、大学が研究者をプログラムに推薦し、これらのアカデミーが候補者を審査する。最も有能な研究者達が財団に推薦され、財団が最終選考を行う。したがって、大学は推薦した研究者の研究に長期的に責任を持つことが求められる。

 

【出典】
KVA:https://www.kva.se/en/pressroom/2016/satsning-pa-unga-forskare-for-att-starka-svensk-forskning/(*一部のブラウザーではアクセスできない場合がございます。)

 

【参考】
The Knut and Alice Wallenberg 財団:Knut och Alice Wallenbergs Stiftelse

地域 北欧・バルト三国
スウェーデン
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
人材育成 若手研究者育成
研究支援 研究助成・ファンディング、研究者向けフェローシップ