【ニュース・スウェーデン】卒業生の雇用について

スウェーデンリサーチカウンシル(Vetenskapstradet、以下VR)は、大学・専門学校の研究者の半数以上が、自身が博士号を取得した機関で雇用されていることを示す報告書を公表した。同機関はこの結果を受け不安を漏らす。

 

「流動性の低さが心配である。スウェーデンの高等教育機関は戦略的リーダーシップの課題を踏まえて幅広い視野での雇用をすべきだ。」とSven Srafström VR事務局長は話す。

 

流動性の低さを是正するため、公開競争による国内での雇用システムを確立し、アカデミックポジションを競う際、流動性を高く評価すべきとVRは提唱している。

 

同報告によると、概して、大規模大学は内部登用率(博士号を取得した教育機関に雇用されていること)が高く60%以上であった。医学分野での外国での学位取得者は7%に留まる。報告によれば、理由の一つとして、スウェーデン国内の博士号取得者は修了時の年齢が比較的高く、すでに家庭を持っていることが挙げられている。

 

<流動性が重要である理由>
ヨーテボリ大学のBo Roshstein教授は次のように述べる。

 

「スウェーデン国内で研究・高等教育人材を雇用するため、ヨーテボリ大学の外部から来る優れた候補はほとんどいない。知の「インブリーディング」は男女平等、創造性のどちらにも良くなく、バランスの悪い長期依存につながり、集団的な思考を生み出す。」

 

ノルウェー科学技術大学のJonas Persson氏は、「全ての研究者は国際的な経験をするべきだ。」と述べる。同氏は、ノルウェー科学技術大学に勤める以前、英国、フィンランド、日本そしてスウェーデンで働いた経験がある。「様々な文化ややり方を見てきた。様々な科学・教育への取組み方を見ることで、幅広い視野を持つことができた。流動性が重要である理由は、経験と他では決して得られない人々とのつながりを得ることができるからだ。国内に留まっていた場合に比べ論文を多く発表できないかも知れない。だが、物事を違った視点から良く見えるようになる。数値としては見えづらいかもしれないが、1人の人間としても、研究者としても成長でき、それは指導学生へのインスピレーションになる。」

 

ストックホルム大学が示した報告の新しい統計値によると、過去5年間で同大学に雇用された多くの教員は博士号を他大学で取得したか、他大学で雇用されたことを示している。

 

同大学のAstrid Söderbergh Widding 学長は「本学の方針は、教員職は国際的に募集され、開かれた競争によるものでなくてはならず、国内の候補を優先したり、外部資金を持つ者を求めてはならない。」と話す。

 

University World News:Majority of academics at universities recruited from within

地域 北欧・バルト三国
スウェーデン
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
国際交流 国際化
人材育成 研究者の雇用、研究人材の多様性、教員の養成・確保