経済協力開発機構(OECD)のEducation at a Glance*によると、エストニアにおける2014年の教員の給与は高等教育を受けた労働者の平均給与の88%であった。これは前年度より4%上昇し、OECDの平均を上回る。それにも関わらず、エストニアの高等教育を受けた人口の割合は減少傾向にある。他のOECD諸国と比べ、学部退学者が多いことが原因と考えられる。
Maris Lauri教育研究大臣は、エストニアは2、3年前までは教員給与はあまり多くなかったが他のOECD諸国よりも急速に教員の給与額を上げており、この国は正しい方向に進んでいると述べる。「私達の目標は、高等教育を受けた労働者の平均給与額と同レベルまで、教員給与を上げることである。他の職業に引けをとらない給与額が与えられれば、より多くの若者を教員職に惹きつけることができる。現在は若い世代の教員不足が深刻である。」とLauri大臣は説明する。
教員給与は2010年~2015年に45%上昇し、2016年末には50%まで上昇する見込みである。
また、Lauri大臣は、エストニアは高等教育を受けた人口を高比率で維持するため、退学者を防ぐことにもっと注意を向ける必要があると話し、次のように続ける。「州がRajaleidjaセンターを通じて提供するキャリア相談は、ニーズにそった教育手当てや奨学金など、多様な支援を行うことができ、退学者を防ぐのにとても有効である。さらに、それぞれの高等教育機関も学生に多くの支援を行っている。」
エストニアの住民は歴史的に見ても高い教育を受けてきている。2015年時点でエストニアの55歳~64歳人口の35%が高等教育を受けており、OECDの平均の26%と比べると高い。しかし、51%の学生が学士課程を退学している。これは、OECD諸国の中で最も高い数値である。Lauri大臣は、次のように述べる。「2013年教員給与が教育機関の運営費総額に占める割合は、OECDの平均が61%であったのに対し、エストニアは42%であった。我々は半分しか埋まっていない建物を温めるために力を使うのではなく、教育の中身により多くの財源を投入するべきだ。」
*Education at a Glance
教育統計比較データの一つ。35のOECD加盟国とアルゼンチン、ブラジル、中国、コロンビア、コスタリカ、インド、インドネシア、リトアニア、ロシア、サウジアラビア、南アフリカを含めた各国の教育システムを分析している。国の教育政策の影響について、自国と他国とを比較できるように設計されている。
【出典】
エストニア教育研究省ウェブサイト:OECD:Teacher’s salaries are growing but the proportion of the population with higher education could begin to fall
【参考】
OECDウェブサイト