【ニュース・イギリス】UCASが無意識の偏見に関する報告書を発表

2016年9月7日、大学入試機関(UCAS: Universities and Colleges Admissions Service)は、来年度、エクスター、ハダースフィールド、リバプール、ウィンチェスターの各大学がいくつかの学部において出願学生の名前を隠した願書による選考を行うことを発表した。これは覆面選考が公正な入学者選定に資するかを確認するためのプロジェクトで、学生の利益や他大学への実施拡大の可能性について評価する予定である。

 

UCASが行った調査により、大学は入学者決定の際に潜在的な偏見の可能性があることに気づいており、この問題に対して様々な対策をしていることがわかった。

 

報告書では、無意識な偏見を排除するためのよりよいトレーニングの実施、グッド・プラクティスの共有と併せ、覆面選考の効果を評価するよう勧告している。なお、UCASが発表した初期の分析データでは入学選考システム上の系統的なバイアスは見られなかった。

 

UCAS対外部長のHelen Thorne氏は“大学の入学選考は複雑で、大学によって利用するシステムも違えば、学科ごとに選考過程も異なる。覆面選考が主流になれば、学生との関係を維持しにくくなり、大学進学者数増加に向けた努力が台無しになると懸念する専門家もいる。このプロジェクトにより、大学が覆面選考の効果及びそれがどのように既存の選考方法を補完しうるかを評価し、より公平な選考を行えるようになる。”と述べた。

 

Jo Johnson大学・科学大臣は“出身に関わらず、全ての学生に世界トップクラスの大学で勉学できる機会が与えられるようにするために、我々はUCASにこの評価をお願いした。大学が協力して不公平さを払拭しようとしていることは喜ばしいことだ。”と述べた。

 

UCAS:UCAS Unconscious Bias Report 2016

 

【関係機関の反応】

 

・公正機会局 (OFFA: Office for Fair Access)
UCASの報告に関し、同局理事長のLes Ebdon 教授は次のようにコメントした。“大学やカレッジは入学選考に関する自治権を有しているが、覆面選考の試行により潜在的な偏見に対応しようとしていることを歓迎する。UCASには覆面選考が現在の選考方法を補いうるものかどうか評価してもらいたい。試行の結果、不公平さが軽減され、入学時の公平性が確かなものとなることを期待している。”

 

OFFA:OFFA welcomes ‘name-blind’ applications trial

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