【ニュース・イギリス】QS世界大学ランキング2016-2017発表

2016年9月6日、Quacquarelli Symonds(QS)社は“QS World University Ranking”の2016~2017年度版を発表した。

 

評価指標は昨年同様、世界的な高等教育機関の主要な活動を包含する6項目から成る。

  1. (学術界の)研究者による評判(40%)
  2. 雇用者による評判(10%)
  3. 学生一人当たりの教員数(20%)
  4. 教員一人当たりの被引用論文数(20%)
  5. 外国人教員比率(5%)
  6. 留学生比率(5%)

 

第13回目となる今回のランキングでは、上位20位に大きな変動はなかったが、米国が圧倒的に上位を占め、それに続く英国、オーストラリア、ヨーロッパ大陸諸国を大きく引き離した。また、アジアの大学の台頭も続いており、中国、香港、シンガポールは持続的な投資の結果が出ている。中国は100位内に4大学が入っているが、中国の上位13大学中9大学が順位を上げ、そのうち4大学は10位以上順位を上げている。日本の大学は近年のランキングでは下降傾向にあったが、今回は回復を見せている。

 

2004年に初めて世界ランキングを発表して以来、英国は米国に続くランキングの上位を占めていた。ケンブリッジ大学、オックスフォード大学、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)、インペリアルカレッジ・ロンドン は10位以内にランクインしており、上位100位に18大学が入っているが、そのうち14大学は1~2位ランクを落としている。この原因は、研究助成金が確保できるのか、厳格な移民政策が若い優秀な人材の受入れにどう影響するか、といった不確実性が英国の評判を傷づけているためと推測される。上位400位に入っている英国の大学のほぼ4分の3が研究者及び雇用者による評判でポイントを下げており、半分以上の大学で外国人教員数が減少している。

 

QS Intelligence Unit:2016 QS World University Rankings

 

 

【QS World University Rankings® 2016-2017】

 

Top20

2016 2015 University Country 総合点
1 1 Massachusetts Institute of Technology (MIT) USA 100
2 =3 Stanford University USA 98.7
3 2 Harvard University USA 98.3
4 =3 University of Cambridge UK 97.2
5 5 California Institute of Technology (CALTECH) USA 96.9
6 6 University of Oxford UK 96.8
7 7 UCL (University College London) UK 95.6
8 9 ETH Zurich (Swiss Federal Institute of Technology) Switzerland 94.2
9 8 Imperial College London UK 94.1
10 10 University of Chicago USA 93.0
11 11 Princeton University USA 92.8
12 12 National University of Singapore (NUS) Singapore 91.5
13 13 Nanyang Technological University (NTU) Singapore 91.4
14 14 Ecole Polytechnique Federale de Lausanne (EPFL) Switzerland 91.1
15 15 Yale University USA 90.9
16 17 Cornell University USA 90.1
17 16 Johns Hopkins University USA 89.3
18 18 University of Pennsylvania USA 89.0
19 21 University of Edinburgh UK 88.9
20 22 Columbia University USA 88.6

前年より上昇 前年より下降
 

Top200に入った日本の大学

2016 2015 University 総合点
34 39 The University of Tokyo 82.6
=37 38 Kyoto University 81.7
56 56 Tokyo Institute of Technology 74.9
=63 58 Osaka University 71.7
=75 74 Tohoku University 68.7
=115 120 Nagoya University 59.6
130 =139 Hokkaido University 57.8
135 142 Kyushu University 56.8

前年より上昇 前年より下降

 

国・地域別(世界)上位400位入り大学数/上位20カ国とその変遷

順位 国・地域名 2016 2015 2014 2013
1 United States 78 79 79 84
2 United Kingdom 48 48 44 45
3 Germany 24 28 31 31
4 Australia 21 21 19 20
5 France 17 20 17 19
=6 Canada 15 15 15 14
=6 China 15 15 13 11
8 Japan 14 14 14 14
9 Netherlands 13 13 13 14
10 South Korea 11 9 10 9
=11 Russia 8 5 5 5
=11 Spain 8 8 9 10
=11 Sweden 8 8 8 8
=11 Switzerland 8 8 7 7
=11 Taiwan 8 9 7 6
16 Belgium 7 7 7 7
=17 Finland 7 7 8 6
=17 India 7 7 5 5
=17 New Zealand 7 7 5 5
=20 Hong Kong 6 6 6 6
=20 Italy 6 7 13 11

 

 

【メディア報道】

 

○ガーディアン紙:Brexit懸念の最中、英国大学世界ランキングで痛手

 

ケンブリッジ大学が、12年前にこの調査が開始されて以来、初めて上位3位から転落したのをはじめ、英国の多くの大学が順位を下げた。

 

ランキングのための調査は、英国のEU離脱を決めた国民投票が行われる6月よりも前に実施された。QS社は国民投票が英国の大学に不確実性をもたらした感があるとしつつも、その下落傾向の原因について明確な説明はしていない。

 

一方で、政府がEUの研究プロジェクトについてその助成額を保証することを発表したことで、ある程度不確実性は和らいだものの、英国の高等教育機関の優れた評判を保つためにはより確実な支援が必要であると指摘している。

 

The Guardian:UK universities tumble in world rankings amid Brexit concerns

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取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
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