2017年3月8日、Phillip Hamond 財務大臣は2017年春の予算案を発表した。高等教育・学術関係予算は次のとおり。
・ | 16歳から19歳層の専門技能教育への投資を£5億以上に |
16歳から19歳の専門学校生を対象に“Tレベル”システムを2019年秋から導入。学生は建設、デジタル、農業など15の技能分野から希望分野を選択し、専門技能を習得するとともに、コースの一環として就業体験を実施。授業時間は現在より50%増加。また、政府は国立カレッジや工学カレッジなどの高等技能コースの学生も学生ローンの対象とする。 | |
・ | £3億を学術研究のための新たなポストに投資 |
科学、技術、工学、数学等の分野の博士養成のため、博士課程の学生1,000人に新たに£9,000万を投資。また、£2億1,000万で、特別研究員制度を新設。バイオサイエンス、バイオテクノロジー、量子技術やサテライト、宇宙技術等の分野において、世界トップの人材を惹きつける研究を実施するプログラムを含む。 | |
・ | 2018年よりパートタイム学生と博士課程学生に学生ローンを支給 |
パートタイムの学部学生も生活費ローンの対象とする。また、博士課程学生には最高£25,000のローンを支給する。 | |
・ | £2億7,000万の産業戦略チャレンジ基金(ISCF:Industrial Strategy Challenge Fund) |
チャレンジ基金の最初の配分として、次の分野での大学や産業界における研究・イノベーションを支援。
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GOV.UK:Spring Budget 2017:21 things you need to know
【関係機関の反応】
○英国研究会議(RCUK:Research Councils UK)
イノベートUKの最高責任者である Ruth McKernan 氏は、“チャレンジ基金の対象としてあげられた分野について、英国にはそれを得意とする研究者がいて、優れた企業も揃っており、テクノロジーを商業化する準備は整っている。”と述べた。
また、同会議の議長である Philip Nelson 教授は“長期的な研究への助成と、高い技術を有する研究者の養成は、将来英国が科学の力で研究を産業に結び付けていくために大変重要である。世界中の国々が同様に資源をつぎ込む中、このような投資は戦略的にも必要不可欠である。”と述べた。
Research Councils UK:UK’s Research and Innovation bodies welcome Budget
○ラッセルグループ(Russell Group)
科学や研究に支援するということは、経済成長と雇用に投資することだ。研究と人に投資することに焦点を当てた財務大臣の発表は新しい発見、新しい商品とサービス、新しい企業そして英国経済の強化に繋がるであろう。
世界の優秀な研究者を英国に惹きつける動きは大変よい。海外からの職員や留学生は世界クラスの大学には欠かせない存在であり、世界から才能を引き寄せることは英国の経済や社会に大きく貢献する。今回の予算案はEU離脱を控え、政府の長期計画についてのよい前兆と見られる。
特に我々が期待したいのは“QR”配分(※研究の質に基づいて配分すること)による配分額の増額である。
Russell Group:Spring Budget 2017-Response