【ニュース・イギリス】 戦いの後-総選挙結果と高等教育界への影響

2017年6月9日、高等教育専門ウェブサイトのWonkheは前日6月8日に行なわれた英国総選挙結果の高等教育界への影響と「大学町選挙区」の結果について分析を発表した。

 

与党、保守党は過半数に達することができず、TEF2(Teaching Excellence Framework Year Two:試行第2回教育評価制度)の結果発表、LEOデータ(longitudinal education outcomes data:大学卒業生の卒業後の年数と収入に関するデータ)発表、学生局長官人事の発表など、今後の高等教育界にも影響する可能性がある。

 

間違いなく、保守党に打撃を与えたのは多くの大学のある選挙区の若者、特に学生の票であった。出口調査では18~34歳の63%が労働党に投票したという結果がでており、又それ以前の兆候として過去の選挙よりこの年代層の投票率が高いといわれていた。労働党の公約の一つである授業料廃止は同党の成功の鍵であったといわれている。
大学キャンパスでは投票所に有権者の長い行列ができた。ガーディアン紙によるとUniversity of East Anglia が位置する選挙区の投票所ではもっとも長いと思われる行列ができ、University of Oxford やUniversity of Kentの選挙区でも同様な長蛇の列があったと報告されている。

 

では高等教育関係の選挙結果はどうなったのか。

 

元教育省の公務員で高等教育のロビーストとして有名なMatt Rodda氏は学生の多いReading East選挙区で労働党候補として予想外の当選を果たした。

 

他に学生選挙区といわれる、Cardiff-Central , Bristol West, Manchester Central, Newcastle-upon-Tyne East, Norwich South, Nottingham Southでも労働党が勝利した。自由民主党が議席を守ってきたLeeds North Westも労働党の勝利であった。

 

Bathは驚くことに保守党から自由民主党の議席となった。又自由民主党はOxford West and Abingdonでも保守党から議席を奪った。

 

Cambridgeでは労働党が13,000票の差をつけて勝利を収めた。

 

Aberdeen Northはスコットランド国民党が獲得。(学生が少ないAberdeen Southでは保守党が獲得した。)

 

最も多くの学生を抱える選挙区Sheffield Central は労働党が圧勝した。Sheffield Hallamは2010年連立政権時に自由民主党の党首で2010~2015まで副首相であったNick Clegg氏が落選、同選挙区は労働党が確保した。 University of Kent が位置するCanterburyは予想以上の学生票により100年ぶりに労働党が勝利した。

 

教育大臣のJustine Greening氏 はたった1,500票の差で辛うじて勝利を収めた。なお、大学大臣のJo Johnson氏はOrpingtonで圧勝した。

 

WONKHE:The morning after-election results, university seats and what’s next

 

【2017年英国総選挙結果】
議席総数:650(過半数議席数:326)
主要な獲得議席数:(改選前議席数)

  • 保守党(Conservative Party):318(331)
  • 労働党(Labour Party):262(232)
  • 自由民主党(Liberal Democrats Party):12(8)
  • スコットランド国民党(Scotland National Party):35(56)
  • 民主統一党(Democratic Unionist Party):10(8)

BBC News:Election2017 Results

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