【ニュース・イギリス】英国首相がEU離脱に向けた政府計画を発表

2017年1月17日、Theresa May英国首相は、EU離脱に向けた政府計画を12の優先事項とともに発表した。英国は、EUの単一市場から完全に離脱し、より強く、より公平で、よりグローバルな国を目指す。優先事項のうち、大学等に関連するものの概要は次のとおり。

 

○移民制限
英国は引き続き、英国で働いたり学んだりしたいという優秀な人材を魅きつけていけるようオープンであり続けるが、その過程を適切に管理し、我々の移民政策で国益を守れるようにする。
英国は、いつでも移民、特に高い技術を有する人の受入を歓迎するが、国民投票で明らかになった国民の意見を考慮し、欧州からの移民の人数は制限しなければならない。

 

○英国在住のEU圏出身者及びEU圏在住の英国人の権利
すでに英国に在住しているEU圏出身者の権利と、他のEU諸国に在住の英国人の権利をできるだけ早急に保証したい。これについては、すでにEUのリーダーたちとも話しており、1~2名を除いて同意されてはいるが、この問題の解決は、英国にとっても他のメンバー国にとっても最優先事項である。

 

○研究・イノベーションに最適な場所
英国の強みの一つは、世界最良の大学に支えられる学術研究コミュニティの広さと深さである。我々は、最先端の研究・イノベーションをリードし、支えてきた歴史を誇りに思っている。また、主要な研究、技術戦略等に関し、欧州のパートナーと引き続き協力し、宇宙探索からクリーン・エネルギー、医療技術まで、我々の住む世界をより深く理解し、よりよくしていくための共同の試みに最前線で関わっていきたい。

 

GOV.UK:The government’s negotiating objectives for exiting the EU: PM speech

 

【関係機関の反応】

 

○英国大学協会(UUK: Universities UK)
同協会のNicola Dandridge会長は、首相の演説を受け、次のように述べた。“英国が海外の優れた人材に対してオープンであり続けるという首相の約束を歓迎する。また、我々の大学制度の国際的な強みと、最先端の研究やイノベーションに関し国際連携を続けることの重要性に言及したことを嬉しく思う。英国の大学制度は世界をリードしており、その成功の大部分は、世界中の優秀な学生やスタッフを惹きつける能力と、海外のパートナーとともに行っている世界クラスの研究にある。

 

英国の大学には現在12万5,000人を超えるEU圏からの留学生を含め、50万人近い留学生がいる。また、学術スタッフの16%はEU圏出身、12%がEU以外の国の出身である。EU離脱交渉は、英国が引き続き留学生受入にオープンで、欧州の研究ネットワークへのアクセスを続けていけるようにするものでなければならない。

 

EU離脱は多くの課題ももたらすが、政府の適切な支援があれば、大学はEUの外側でも、英国が経済的に成功し、世界に影響を与える上で中心的な役割を果たしていくことができる。しかし、そのためには現在の移民制度を改革し、国籍に関係なく真に優秀な学生、研究者、大学スタッフを受け入れられるようにする必要がある。”

 

Universities UK:Response to Theresa May speech on Brexit

 

○ラッセルグループ(Russell Group)
同グループのWendy Piatt事務局長は、次のように述べた。“首相は優秀な人材の移動と国際連携、EUとの研究活動が、英国が世界をリードする経済国でいられるために不可欠であり、それを支える必要があるということを正しく理解している。大学が海外のパートナーと容易に効果的に協力を続けられるようにしてほしい。

 

政府は我々が直面しているリスクに目を向けてこの離脱計画を進めていく必要がある。大学が優秀なスタッフや学生を惹きつけ、留められるようにすることは、英国全体の優れた研究、イノベーション、教育を支えるためにも不可欠である。”

 

Russell Group:Response to The PM’s Brexit speech

地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
国際交流 国際化
人材育成 学生の多様性、研究人材の多様性
その他 その他