【ニュース・イギリス】英国消費者団体による雑誌’Which?’が、消費者法の観点に基づき、英国各大学のウェブサイトにおける情報提供のあり方に関する監査報告書を発表

2015年10月23日、消費者団体による雑誌’Which?’が、各大学のウェブサイトにおける情報提供のあり方が消費者保護法の基準を満たしているかどうかを調査した報告書を発表した。
報告書は、本調査の意義について「近年の授業料高騰を受け、大学に行くかどうかの決断は若年層にとっては非常に大きな問題となってきている。こうした層の権利は保護されるべきで、とりわけ消費者保護法の観点から見て、大学側が十分な情報提供を行っているかどうかは重要な問題である」と述べている。具体的には、2016学事年度(以下「年度」)申請用の情報提供について、各大学が法的義務を果たしているかどうか調査した。
結果として、調査対象とした50大学の75%以上が、授業料、申請者がどのように評価されるのか、申請者が大学職員に問い合わせなどができる時間帯など、申請者にとって必要な情報を適切に提供していない、あるいは容易にアクセスすることができない状態でウェブサイトを運営していることが判明した。この事実が見られたのは、UCAS(Universities and College Admissions Services ※高等教育機関への願書を受付・処理する機関)が2016年度申請の受付を開始した直後であり、かつ2015年3月に競争・市場庁(CMA:Competition and Markets Authority,市場が適切に運営されているかどうかを監督する政府機関)から大学に改善勧告がなされてから5ヵ月後であることも特筆される。具体的には、調査対象の50大学において、以下のことが見られた。
・約64%の大学のウェブサイトにおいて最新の授業料情報の提供がなされていなかった
・38大学において、法に定められた具体的情報の提供がなされていない事例が少なくとも1件はあった
・あらゆるカテゴリーの情報に関して、推奨規範に完全に則って情報提供を行っている大学は1つもなかった
・3大学が法の求める具体的情報のうち、約30%の提供を怠っており、継続的に法の定める基準を満たしていなかった
・あらゆるカテゴリーの情報に関して、CMAの最低限の遵守事項を守っていたのは、わずか24%に過ぎなかった
・部分的に推奨規範に正しく則り行われている事例も見られたが、ほとんどの場合、継続的に行われていなかった
規範に則っていない大学は、ただちに改善することが求められる。

【他機関の反応】
・英国大学協会(UUK: Universities UK)
Nicola Dandridge協会長は、学生がコース選択のために明確な情報を与えられることは重要ではあるが、学ぶ/教えるという学生と大学の関係は消費者保護法の想定する通常の消費者とサービス提供者との関係とは異なっている点に留意しつつ、CMAとも協力しながら、大学が最良の形でその責任を果たせるよう支援していきたいと述べている(URL2)。

・OFFA(高等教育への公平なアクセスを保護・促進する役割を担う非政府公的機関)
Les Ebdon 局長は、OFFAはウェブサイト上で授業料などを公表して常に情報公開の義務を果たすよう努力しているが、各大学にも情報公開を徹底するよう働きかけたいと述べている(URL3)。

 

URL1: http://press.which.co.uk/wp-content/uploads/2015/10/Which-HE-investigation-audit-of-website-information-provision-23-October-2015-1.pdf
URL2: http://www.universitiesuk.ac.uk/highereducation/Pages/UniversitiesUKresponsetoWhichreportonconsumerlaw.aspx#.VipccGeFMdU
URL3: https://www.offa.org.uk/press-releases/offa-comment-on-which-audit-of-online-information-for-students/

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