【ニュース・イギリス】統計:高等教育卒業生の就業と収入

2017年6月13日、教育省(DfE:Department of Education)は高等教育修了者の就業と収入に関する試験的統計として「長期的教育成果(LEO:Longitudinal education outcomes)」 を発表した。
今回初めて発表された本調査結果は、下記のデータから構成されている。

  • 教育省提供による教育データ
  • 雇用年金局(DWP:Department for Work and Pension)及び英国歳入税関庁(HMRC:Her Majesty’s Revenue and Customs)提供による雇用、福祉手当、収入データ

これらの試験的統計は2003~2004学事年度から2012~2013学事年度に渡るデータであり、下記について分析されている。

  • 卒業後3年、5年及び10年の就業率と収入
  • 個人の属性(性別、人種、年齢)
  • 出身大学
  • 専攻、資格取得状況

GOV.UK:Statistics:higher education graduate employment and earnings

 

【各機関の反応】

 

○英国大学協会(UUK:Universities UK)/Nicola Dandridge会長
調査結果からは、大学や専攻にかかわらず、大学修了者は雇用に関して今でも有利であることが明らかになった。大学を卒業していない者よりも平均して確実に収入が高い。
しかし収入額だけが高等教育の成功を測る物差しではない。芸術、創造産業、看護、公共部門専門職などを専門とする大学は社会や経済に大きく貢献しているにもかかわらず、平均より低い収入となっている。多くの学生は高い収入ではなく、生きがいのある職種を求めている。また、地理的な属性など、収入に影響する要因は他にもいくつか考えられる。
特殊技能を持つ卒業生の需要は今後益々増していくだろう。英国の大学はこれまで以上に学生に対し、生涯を通じて必要となる技能を様々な分野で習得させ、また、雇用者側が求める大学院レベルの高い技術を習得させる努力をしていくことになる。
批判的に物事を考え、分析し、証拠提示する能力はまさに「生涯を通じて人生を豊かにするもの」である。

 

Universities UK:Comment on new graduate employment and earnings statistics

 

○ラッセルグループ(Russell Group)/事務局長代理Tim Bradshaw氏
大学で学ぶことは将来の収入に関る以上の価値があるものであるが、多くの若者は大学進学の理由として将来の収入も考慮していることは事実である。
雇用者はラッセルグループ大学卒業者を高く評価しており、本調査結果をみても、雇用者がラッセルグループの卒業者に対し高い給与を支払うことを異としていない。
心理学から社会科学、法律、またコンピュータサイエンスから工学、物理化学まで統計データ上ではラッセルグループ卒業者は収入において群を抜いて優れている。ラッセルグループの11大学が法律の分野における収入トップを占めている。数学ではトップ8までを占めており、他の分野においても同様の傾向が見られる。
長期的教育成果調査は今回が初めての結果公表ではあるが、大学進学希望者にとって大学の選択がどれだけ将来の収入に影響を及ぼすかを知ることができるものとなっている。

 

Russell Group:Commenting on the publication of the new Longitudinal Education Outcomes(LEO)dataset, Acting Director of the Russell Group Dr Tim Bradshaw said:

地域 西欧
イギリス
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
人材育成 学生の就職
統計、データ 統計・データ